細野豪志「技能実習生制度を正当化はしていない」
細野の書いた技能実習生に関するブログは一部で反発も呼んだ HISAKO KAWASAKI-NEWSWEEK JAPAN
<日本の技能実習生制度が現代の「奴隷制」を生んでいる。制度を擁護するかのようなブログを書いた細野衆議院議員に、執筆意図と外国人労働者問題を聞いた。本誌4月24日号「技能実習生 残酷物語」より>
地域によってはコンビニや建設現場で働いている姿を見るのが当たり前になった外国人労働者だが、その多くは技能実習生か留学生だ。特に技能実習生は農業からサービス業までさまざまな職種で働いているが、立場の弱さを利用した経営者側による人権侵害が報じられ続けている。
静岡選出の希望の党衆議院議員である細野豪志は、技能実習生を雇用する地元・富士市の企業を訪れ、「技能実習生の受け入れ現場を歩く」と題したブログを今年3月に執筆。制度を擁護するとも受け止められる記述が一部で批判を呼んだ。ブログ執筆の意図、そして外国人労働者問題をどう考えるかについて、本誌編集長の長岡義博とルポライターの安田峰俊が聞いた。
――技能実習生制度についてどう考えるか。
実態は労働力。必ずしもいい制度とは思っていない。
――ブログで技能実習生が「日本に来るためには、彼ら自身が60万円を超える負担をしなければならない」と書いている。外国人にとって少なくない金額を負担することを容認している、と受け止められるのでは。
これはあくまで現場を見た報告を書いただけで、こういったものをいくつかまとめて文章で提案したいと思っている。
――問題意識はある、と。
もちろん。
――訪問した企業は支持者では?
支持者というか......社長をよく知っている、ということ。
――記事が企業への配慮なのでは、と見えなくもない。
私は制度を変えたい、と思っている。問題があるとも思っている。個別のファクトとしてこれが一般的か、という議論はあるかもしれない。トータルで私がこれを正当化していて、事実を見ていないかのような前提に立たないでほしい。ほかにもいくつかの現場を見ている。違う国の話も聞いている。メディアの報道も読み、派遣会社の話も聞いている。ここだけを見て事実を判断する、ということではない。
――技能実習生制度をどう変えたい?
労働者としてきちんと受け入れたほうがいい。技能実習生として受け入れることで、期間や社会保障費などいろいろな矛盾が出てきている。ただし、受け入れるときにヒューマニズムに基づいて誰でも、とはいかない。
――制度を撤廃して単純労働の移民受け入れに進むべきだ、と。
政府もおそらく大胆な提案をしてくる。というのは財界が持たなくなっているから。日本社会の底が抜けつつあり、産業が成立しないところも出てきている。留学生も問題がある。むしろ、そちらのほうが深刻かもしれない。間口が広く、アンダーグラウンドで働くケースも多い。
――実際に取材したベトナム人留学生のケースだと、あくまでカネが目的で日本語は挨拶もできない、それなのに永住を希望するというケースがある。あるべき移民像は?
かつてシンガポールでは外国人の移民が住む場所についても、できるだけ集中しないように規制していた。日本にそのまま導入できないが、かなりの配慮をしないと社会の分断が生じる可能性はある。教育も重要だ。あとは、入り口のところで日本社会に適応できる人を選別する必要はある。入り口のハードルを高くした上で、日本社会に適応する人には永住や、家族を連れてくることを選択できるようにすべきだ。