ポーランドでまた歴史否定発言「ユダヤ人は自らゲットーに行った」
ユダヤ人も加担と強弁
「ポーランドがホロコーストに共謀したというげんせつ主張は、ナチス・ドイツの責任を曖昧にする」と、モラウィエツキ首相は書く。
「第2次大戦中、ポーランドはドイツとソビエトが企んだ大虐殺を経験し、600万人のポーランド人が亡くなった。その半数がポーランド在住のユダヤ人だ。ポーランドにナチスの第三帝国に協力する政権が誕生したことは一度もなく、ナチスの親衛隊が結成されたこともない」
元政治家である首相の父親は、息子の主張を後押しするためにインタビューに応じたようだ。
とりわけユダヤ人もナチスに協力していたというモラウィエツキ首相の発言は、激しい非難を浴びている。これを援護するためか、マテウス・モラウィエツキはインタビューで「ユダヤ人自由防衛隊」と呼ばれるネットワークに言及した。ナチスが抵抗組織に潜入させたユダヤ人スパイ網のことだ。
ユダヤ人は自主的にゲットーに行った、という主張の是非をめぐる議論が大々的に展開されていること自体が、新法の抑圧的な効果を浮き彫りにしているという見方もある。
ポーランドでは右派政党「法と正義」が政権を握って以来、ナショナリズムが一気に高まり、極右勢力が台頭している。昨年11月の独立記念日には、首都ワルシャワで愛国主義団体がデモを実施し、60万人が参加。ネオナチも堂々と隊列に加わった。