米入管で不法入国者を待つ「冷凍庫」並みの監房
精神的外傷を残す
HRWが調査した女性と子供の大半は、祖国で暴力など迫害を受けて逃れてきたと語った。
「収容施設の状況は不必要に過酷なばかりか、とりわけ祖国で迫害されてきた人たちにとっては、明らかに有害だ」と、ボチャネクは言う。「アメリカは子供たちや彼らの家族にトラウマを与えるような慣行を今すぐやめるべきだ」
HRWは被収容者を「虐待的な条件下」に置くことが精神の健康に与える影響についても警告している。
災害援助と人権擁護のNPOユニテリアン・ユニバーサル奉仕委員会の15年の報告書によると、アメリカの入管当局に逮捕された人々にとって、「最も耐え難く、精神的外傷を与える」期間は、収容施設で過ごす期間だという。
HRWによれば、収容施設は不衛生でもあり、被収容者にはハンドソープも与えられない。トイレや食事、乳幼児への授乳やおむつ替えの前後にも手を洗えないということだ。
法令違反はないとCBP
ある女性は5歳の息子とリオグランデ川の浅瀬を歩いて渡り、ずぶ濡れになって入国した後、寒い監房に入れられて、「がたがた震えながら、コンクリートの床に座っていた」と、HRWに話した。
「せめて息子は床の上で眠らずに済むよう、膝の上に抱えて、私は座ったまま寝た」
CBPの職員は本誌の取材に対し、「HRWの報告書のことは知っている。報告書で指摘された問題についてはHRWと話し合った」と述べた。
CBPは「短期収容施設」を運営し、不法入国者の収容を「連邦法の貿易円滑化・貿易履行強制法に基づき、通常は72時間以内」にとどめているという。
CBPはまた「すべての被収容者の尊厳を尊重しており、すべての短期収容施設が関連法規に定められた基準に適うよう管理を徹底している」と強調。内部の運営査察部門が施設の状況を定期的にチェックするなど、複数の「法令遵守メカニズム」が機能しており、違反は一切ないという。