最新記事

フェイスブック

フェイスブック上の「性格判断アプリ」で5000万人情報流出、トランプ陣営の支援に利用も

2018年3月20日(火)16時00分
ジェイソン・マードック

ケンブリッジ・アナリティカのアレクサンダー・ニックスCEO Pedro Nunes-REUTERS

<英データ分析会社ケンブリッジ・アナリティカへの情報流出スキャンダルでザッカーバーグCEOが窮地に>

フェイスブックは欺瞞的で「まるで監視会社だ」――米国家安全保障局(NSA)の機密情報を暴露し、現在はロシアに亡命しているエドワード・スノーデンはこう警告した。

フェイスブックについては、2014年に英ビッグデータ分析会社ケンブリッジ・アナリティカがユーザー5000万人の個人データを取得していたことが発覚。スノーデンはこれを受けて3月17日、ツイッター上でフェイスブックを批判した。

ケンブリッジ・アナリティカは複数の顧客と大型契約を結んでおり、2016年の米大統領選ではドナルド・トランプ陣営とも契約していた。

今回のスキャンダルは、英オブザーバー紙とニューヨーク・タイムズ紙の報道で発覚した。かつのてケンブリッジ・アナリティカ幹部で今回の内部告発を行ったクリストファー・ワイリー(28)の証言によれば、ケンブリッジ・アナリティカは、英ケンブリッジ大学の心理学者アレクサンドル・コーガン博士が作成した「性格分析」アプリを使って、フェイスブック・ユーザーの個人データを政治的な目的で、本人の同意なしに収集したという。

FBは「被害者ではなく共犯者」

不正なデータ取得が明らかになった週末明けの3月19日、フェイスブックの株価は一時6.77%下落した。個人データを蓄積して収益源とするフェイスブックのビジネスモデルに黄信号が灯ったという見方からだ。

問題が始まったのは2014年。ケンブリッジ・アナリティカは、コーガンの性格判断アプリを使ってフェイスブック・ユーザーのデータを取得した。

性格判断のテストを受けるにはフェイスブックにログインしなければならないが、約27万人のユーザーがログインしてテストを受け、情報を盗まれた。

しかも当時のフェイスブックの利用規定では、このアプリにテストを受けた人の友達の情報にもアクセスすることを認めていたため、ケンブリッジ・アナリティカは都合5000万人分の情報を入手した。

同社はその情報をもとに、どんな選挙広告を誰に表示すればいいかのアドバイスを行っていた。2016年の米大統領選挙では、トランプ陣営のためにもその情報を使っていた可能性がある。

スキャンダルを受けて、スノーデンはツイートを投稿。「フェイスブックは何百万という人々のプライベートに関する詳細な情報を悪用し、販売している」と指摘した。

「彼らは被害者ではなく共犯者だ。人々の私生活に関する詳細な情報を集めて売ることで金儲けをしている企業は、以前なら単純に『監視会社』と呼ばれていた。それを『ソーシャルメディア』と再定義して巧みに人々を欺いている」

フェイスブックは3月16日に声明を発表。今回の一件は「情報漏洩」ではないと事態の鎮静化を試み、ケンブリッジ・アナリティカのアカウントを停止したと発表した。同社はその後、ワイリーの個人アカウントも停止した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

EXCLUSIVE-中国、欧州EV関税支持国への投

ビジネス

中国10月製造業PMI、6カ月ぶりに50上回る 刺

ビジネス

再送-中国BYD、第3四半期は増収増益 売上高はテ

ビジネス

商船三井、通期の純利益予想を上方修正 営業益は小幅
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:米大統領選と日本経済
特集:米大統領選と日本経済
2024年11月 5日/2024年11月12日号(10/29発売)

トランプ vs ハリスの結果次第で日本の金利・為替・景気はここまで変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴出! 屈辱動画がウクライナで拡散中
  • 2
    幻のドレス再び? 「青と黒」「白と金」論争に終止符を打つ「本当の色」とは
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    世界がいよいよ「中国を見捨てる」?...デフレ習近平…
  • 5
    北朝鮮軍とロシア軍「悪夢のコラボ」の本当の目的は…
  • 6
    米供与戦車が「ロシア領内」で躍動...森に潜む敵に容…
  • 7
    娘は薬半錠で中毒死、パートナーは拳銃自殺──「フェ…
  • 8
    カミラ王妃はなぜ、いきなり泣き出したのか?...「笑…
  • 9
    キャンピングカーに住んで半年「月40万円の節約に」…
  • 10
    衆院選敗北、石破政権の「弱体化」が日本経済にとっ…
  • 1
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 2
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴出! 屈辱動画がウクライナで拡散中
  • 3
    キャンピングカーに住んで半年「月40万円の節約に」全長10メートルの生活の魅力を語る
  • 4
    2027年で製造「禁止」に...蛍光灯がなくなったら一体…
  • 5
    【クイズ】次のうち、和製英語ではないものはどれ?…
  • 6
    渡り鳥の渡り、実は無駄...? 長年の定説覆す新研究
  • 7
    北朝鮮を頼って韓国を怒らせたプーチンの大誤算
  • 8
    「決して真似しないで」...マッターホルン山頂「細す…
  • 9
    世界がいよいよ「中国を見捨てる」?...デフレ習近平…
  • 10
    【衝撃映像】イスラエル軍のミサイルが着弾する瞬間…
  • 1
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 2
    「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
  • 3
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 6
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 7
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はど…
  • 8
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 9
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料…
  • 10
    エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中