お騒がせベルルスコーニが、3月総選挙で返り咲き?
そして実際、現時点の世論調査ではベルルスコーニ率いるフォルツァ・イタリア中心の中道右派連合は支持率でトップに立っている。もちろん、彼がすぐに首相に就任する可能性は(形式的な立場である大統領の座に就く可能性でさえ)低い。なにしろ敵が多過ぎるし、いくつかの訴訟も抱えているからだ。
ベルルスコーニ率いる連合が選挙で第1党になる可能性はあるが、単独過半数の議席獲得は不可能に近い。ヨーロッパではもともと連立政権が珍しくないし、イギリスの二大政党制も崩壊寸前だ。従って、ベルルスコーニも中道左派の一部を取り込んで連立政権の樹立を模索せざるを得ない。
もとより、ベルルスコーニは真正の穏健派ではない。この男はいつでも、有権者の気分に合わせて自分の主張を変化させてきた。今回の選挙公約にしても、長く続く緊縮財政や国営企業の民営化、歳出削減と人員削減にうんざりした国民の不満を吸い上げただけのものだ。
そして彼には、そんな公約を実行に移す能力も意欲もない。これまでも、公約を実現したことは一度もない。
しかし、そんなことはどうでもいい。ベルルスコーニにとって、そしておそらくイタリアの大半の政治家にとって、大事なのは自分が少しでも長く権力の座にとどまること。そしてその間に私腹を肥やすことだ。そのために必要だから、空疎な公約を掲げて選挙をやり、政権を奪い合う。
不幸にして、少なくともこの点に関しては、イタリアの政治家たちは長年にわたり、極めて有能だった。今度の選挙も、たぶん例外ではないだろう。
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[2018年2月27日号掲載]