仮想通貨バブルの崩壊で、腐ったリンゴを取り除け
今年前半に価格調整が続く可能性が高い MF3d/iStock.
<一攫千金を狙った人にとっては悪夢のシナリオが展開するが、ブロックチェーン技術の成熟には必要な試練だ>
ビットコイン相場の大波乱を見て、仮想通貨バブル崩壊との声も聞かれる。そこまで言うのは早計だが、今年上半期に価格調整が進む可能性は高い。
一部の仮想通貨の相場は引き続き上昇するだろう。仮想通貨を支えるブロックチェーンは中央銀行と違って、価格暴騰を制御できないからだ。問題は膨れ上がったバブルがついにはじけたとき。仮想通貨の保有者にとっては悪夢のような事態が待ち受けている。
よく知られているように、ブロックチェーンは大量の取引を迅速に処理できない。ビットコインは1秒にせいぜい数件の取引しか処理できず、ビザカードのシステムの処理速度(1秒に約2万4000件)に遠く及ばない。
取引量が多くなると、何時間、時には何日間も取引所のサーバーがダウンすることもある。仮想通貨が値下がりして売りが殺到すると、ブロックチェーンに大きな負荷がかかり取引所が機能停止に陥りかねない。
機能停止を免れても、大量の売り注文をさばくにはかなりの時間がかかる。投資家が下落し始めた仮想通貨を売ろうにも、「停止中」のステータスのまま延々と待たされ、その間にどんどん価格が下がっていく......まさに悪夢だ。
投資家にとっての悪夢の状況は、仮想通貨にとっては大きな転換点になり得る。取引環境が未成熟もしくは脆弱なため、多くの市民が巨額の損失を被れば、当然ながら規制当局が介入することになる。
その瞬間からブロックチェーンと仮想通貨を取り巻く状況は大きく変わる。起業家と投資家はブロックチェーンの未来を見据えた冷静な判断を迫られる。この技術が今後どう成長するかは彼らの決断にかかっている。
悪質な事業者が淘汰される
公的管理は仮想通貨が初めて直面する大きな試練だ。ブロックチェーンは中央政府や大企業の支配に対する反逆だという見方もあるが、この技術が広く社会に受け入れられ、活用されるには、政府の支援が不可欠だろう。
ブロックチェーン技術が成熟し、広く活用されるための最も確実な近道は、社会の既存の枠組みの中で機能し、既に構築された仕組みを土台に、それを改善する役割を果たすこと。そのためには仮想通貨のコミュニティーは既存のプレーヤーと協力する必要がある。