ラトビアの銀行部門、大手銀の北朝鮮関与疑惑・中銀総裁逮捕で大揺れ
ラトビアは1991年に旧ソ連から独立。欧州連合(EU)に2003年に加盟した後、2014年にユーロを導入した。
米財務省のFCENはラトビアの銀行システムについて、非居住者の預金に対する依存度が高いために金融不正のリスクが高まっていると指摘。「ペーパーカンパニーを含むオフショア企業がラトビアの銀行に口座を開設し、取引を行える状態になっている」とし、旧ソ連の関係者がラトビアを通じて取引を行っていている可能性を指摘した。
FCENによると、ラトビアの銀行における非居住者の預金残高は約130億ドルに上っている。
これとは別にラトビア当局は、賄賂を要求した疑いでリムシェービッチ中銀総裁を17日に逮捕。48時間の勾留期限が切れた19日に釈放された。
ラトビアの汚職防止・対策局の責任者、ジェカブズ・ストラウム氏は記者会見で、リムシェービッチ中銀総裁の逮捕容疑は「約10万ユーロの賄賂を要求した」ことだと明らかにした。警察も汚職対策局も賄賂の詳細については明らかにしていないが、当局はABLV銀を巡る調査に関連したものではないとしている。
リムシェービッチ氏は釈放後、「容疑を完全に否認する」と発言。ただ、ラトビアのクチンスキス首相が辞任を勧告するなど、リムシェービッチ氏に対する圧力は高まっている。
リムシェービッチ氏の弁護士によると、同氏は20日に記者会見を開く予定。
ブリュッセルで開かれているユーロ圏財務相会合に出席中の欧州委員会のモスコビシ委員(経済・財務担当)は、ABLV銀の資金洗浄疑惑およびラトビア中銀総裁の逮捕について「特にコメントはない」としながらも、「われわれは資金洗浄や脱税らしきものはすべて非難する」と述べている。
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