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金融ウォール街、株価暴落の波乱「まだ終わらない」 古参投資家が警戒
2月15日、米国株下落とボラティリティ増大の予想が当たった古参の投資家たちは、手放しで喜んでいてもおかしくない。ところが実際には、幾分落ち着きを取り戻した今の市場の先にまだ控えるリスクに、油断なく目を向けている。NY証券取引所で8日撮影(2018年 ロイター/Brendan McDermid)
米国株下落とボラティリティ増大の予想が当たった古参の投資家たちは、手放しで喜んでいてもおかしくない。ところが実際には、幾分落ち着きを取り戻した今の市場の先にまだ控えるリスクに、油断なく目を向けている。
先週の急激な値動きで、米国株は最高値から10%余り下がって調整局面入りが確定した。きっかけは米国債利回りの高騰とインフレ懸念だったが、株価収益率(PER)が18.9倍に達するほどバリュエーションが高まっていたことも背景だ。またボラティリティの低水準長期化に賭ける取引の巻き戻しが、下げ圧力を助長した。
株安自体を視野に入れていたストラテジストや投資家は増えていたが、株価はいったん値下がりした後に再び上昇するというシナリオが、彼らの間では中心的な意見だった。
本当のところ現在はどういう事態なのかが大きな問題といえる。
「あなた方は今が底値だと心底から思いますか」と先週、株価下げ止まりに疑問を呈したのは著名投資家ジェフリー・ガンドラック氏だ。1年余り前から市場があまりにも落ち着き過ぎだと警鐘を鳴らしてきた同氏は、特に投資家の不安心理の目安とされるボラティリティ・インデックス(VIX)が「常軌を逸した低さ」にある状況が要注意だと訴えていた。
今回の株安では確かに、ボラティリティのショートを構築する人気の上場投資信託(ETF)のいくつかが打撃を受け、さらなる売り圧力をもたらした。
ルーミス・セイレス副会長で「ウォール街のウォーレン・バフェット」の異名を持つダン・ファス氏は何年も前から、米国債は悪循環的な売りに脆弱で、利回りが跳ね上がる恐れがあると警告してきた。昨年11月にはロイターに「私は『世界の終りを告げる人』になろうとしているわけではないが、1つの可能性として存在する」と米国債投資が持つ危険性を語った。
そのファス氏は今週の電話インタビューで、ルーミスのポートフォリオに現金と現金相当資産を極端な高水準まで積み上げ、先週その一部を投資に振り向けたと打ち明けた。
長年空売りを手掛けてきたビル・フレッケンスタイン氏は「先週の値動きは、強気市場の終わりが迫っている兆しが出始めたことを意味する」と指摘。市場には、さしたる確信もないまま「パーティーに加わろう」と、インデックス・ファンドやETFなどの購入を通じて流れ込んだ大量の足の速いお金(ホットマネー)が存在し、先週は恐らくは年内により大きな事件が起きる単なる予兆にすぎないとの見方を示した。
フレッケンスタイン氏は2009年にショートファンドを閉じたものの、近く再立ち上げを考えているという。
古くからウォール街のストラテジストとして活躍しているプライベート・ウェルス・ソリューションズのバイロン・ウィーン副会長は、今年のS&P総合500種が10%の調整に見舞われると予想していた。
ウィーン氏は「まだ終わったとは思わない」と断言。S&P総合500種は年末には3000超で取引を終えるだろうが、これからも曲折があるとみており、足元の調整で楽観ムードが十分払しょくされたわけではないため、10%を超える一段の値下がり余地があると予想した。
(Jennifer Ablan、Megan Davies記者)