最新記事

米大統領

「トランプは頭がおかしいようだ」と議会に話した精神科医に脅迫殺到

2018年1月25日(木)14時40分
トム・ポーター

1日に1000通の脅迫を受け取ることもあり「命の危険」を感じるという精神科医のリー Yale University

<医師を議会に呼んだ議員たちも、トランプが何をしでかすか心配で相当切迫していたという>

米議会に呼ばれてドナルド・トランプ米大統領の精神状態について意見を述べた精神科医が、「殺してやる」など大量の脅迫に悩まされている。

この精神科医はエール大学医学大学院の臨床精神医学科助教を務めるバンディー・リー。昨年出版された精神科医ら27人の共著『ドナルド・トランプの危険な症例』の著者の1人であり、編集も手掛けた。

脅迫は電子メールや電話、フェイスブックなどもあるが、大半はツイッターでの攻撃だという。

「多いときは1日に1000件も脅迫メッセージがくるので、身の危険を感じている」と、リーはメディアに語った。

政治ニュースサイトのポリティコが今年初めに伝えたところによれば、トランプ大統領の言動が尋常ではないと懸念する議員たちが昨年12月5日と6日、リーを議会に招いて説明を求めた。リーは、トランプが陰謀論に取り憑かれていること、暴力的な動画に興味を示すこと、自分が認めていた事実を後になって否定することを挙げ、議員たちの疑いには根拠があると話したという。

「衝動的にツイートを乱発するのは、ストレスに耐えかねて精神的におかしくなっているサインだと、私たちは見ている。トランプの精神状態は悪化しており、大統領の重責に耐えられなくなるだろう」と、リーは議員向け説明会の後、ポリティコに語った。

議員たちも心配で崖っぷち

「ある上院議員は一刻も早く精神科医の意見を聞きたかったと話していた。大統領の危険な言動に対する議員の懸念は驚くほど深刻なレベルに達していた」

面接や検査を行わずに精神状態を診断するのは職業倫理に反するとして、同業者の間でもリーを批判する声はある。しかしリーは、自分は診断を下しているのではなく、診断を受けるべきだと言っているのだという。

最も懸念しているのはトランプの精神状態がアメリカと世界に及ぼす影響だと、リーはメディアに語った。

「トランプ氏個人の精神状態を心配しているわけではない。大統領の精神状態が人々に及ぼす脅威が心配なのだ。医師は個々の患者だけでなく、社会全体の福利を守る責務がある。私は医師の職責を果たすべく発言している」

ジャーナリストのマイケル・ウルフは、トランプ政権の暴露本『炎と怒り』で、側近たちもトランプの精神状態に不安を抱いていると述べている。トランプはこれに猛烈に怒り、「私は(精神的に)非常に安定した天才だ」とツイートした。

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏とゼレンスキー氏が「非常に生産的な」協議

ワールド

ローマ教皇の葬儀、20万人が最後の別れ トランプ氏

ビジネス

豊田織機が非上場化を検討、トヨタやグループ企業が出

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 7
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中