犬の「うんちを食べる行為」の謎がついに解けた!?
オオカミの糞には、腸内に住みついた寄生虫の卵が含まれている。集団生活を基本とするオオカミの群れで病気にかかるオオカミが出た場合、そのオオカミが群れの近辺で排便するのは危険だ。ニュースサイト「MANTAL FLOSS」によると、寄生虫の卵は通常、感染力を持つ幼虫に孵化するまで数日かかる。
そこでハートが考えたのは、病気のオオカミが排泄した感染症の原因になり得る糞便を、健康なオオカミが食べ、群れから離れた場所で排泄する。つまり、病気の感染拡大を防ぐべく仲間の糞を食べていた。そして現代の犬もその性質を引き継ぎ、本能で糞食をしているという説だ。糞食問題は解決されてはいないものの、「この説は理論的だ」と話す。
空腹を満たすために食べるケースも
ペンシルバニア大学教授でこの研究に参加したジェームズ・セルペルは、「飼い犬における、行動および人間との相互作用」と題したハートの考察を「もっともらしい」と評価している。
また研究では、糞食する犬を見て「食欲旺盛だ」と思いこむ飼い主がいることも判明した。確かに、過去の研究で、発展途上国の野良犬は空腹を満たすために残飯をあさったり、人間の糞便を食べたりするケースが報告されている。
「歴史的にこの生存能力を鑑みると、現代の犬にも(糞食が)依然として非常に広い範囲に普及している可能性がある」とセルペルは考える。「現代の飼い犬や猫には、脂肪やタンパク質が比較的豊富に含まれた食事が与えられているが、そのすべてが完全に消化されるわけではない。そこで間接的にも糞便が魅力的な食糧源になる」
アリゾナ州立大学でイヌの研究に取り組むクライブ・ウインも基本的にこの考えに賛成だ。犬のその生態は人間との生活に寄り添うもので、例えば「夕飯の残飯だけでなく、人間がトイレに遺した糞便」も犬にとっては同列のようだ。「食欲という欲求に動機付けされている」という考えを示した。
糞食ストップの躾は100%失敗
ウインによると今回の調査では、他にも重要な知見が得られた。糞食をする犬に「止めなさい」と指示したら従うか、また一般的な躾用の11の製品のいずれかを使って糞食を止めさせることができたかを飼い主に訊ねた。すると、ほぼすべての飼い主が失敗していたという。貴重な成功例はわずか2%で、犬の糞便の味をまずくする錠剤を混ぜた飼い主だった。