最新記事

朝鮮半島

モランボン楽団団長、まるでメラニア夫人と韓国騒然

2018年1月22日(月)15時30分
ジェシカ・クウォン

裕福そうな服装と威厳で韓国にやってきたモランボン楽団団長の玄松月(ヒョン・ソンウォル) ARIRANG NEWS/YouTube

<北朝鮮の美女応援団団長が、平昌冬季五輪での公演準備のため訪韓。裕福そうで威厳ある姿が話題に>

北朝鮮が平昌冬季五輪に派遣する女性楽団の公演準備のため1月21日、南北の軍事境界線を越えて北朝鮮の有名な女性シンガー、玄松月(ヒョン・ソンウォル)が韓国にやってきた。その姿は、メラニア・トランプ米大統領夫人を彷彿とさせる、と韓国で評判になっている。

毛皮のマフラーをまとった玄は自信に満ち、落ち着き払った様子で表れたと、AFP通信は報じた。玄はこれまで、北朝鮮で人気の「美女応援団」、ミニスカートの軍服姿で金正恩委員長を称賛する歌を歌うモランボン楽団モランボン(牡丹峰)楽団の団長とされていたが、今回は五輪派遣が決まっているサムジヨン(三池淵)管弦楽団の団長という肩書での訪韓だ。

「彼女はメラニア・トランプのスタイルを手本にしたのだろう。毛皮は裕福さをアピールするためのものだ」と、韓国イメージ戦略研究所の許雲娜(Heo Euna)所長は言った。

金正恩の恋人だった

玄は140人規模のサムジヨン管弦楽団のトップとして、首都ソウルと五輪会場となる江陵(カンヌン)での公演を取り仕切ることになっている。公演は南北統一を願う雰囲気に合わせ、南北でよく知られる名曲や民謡で構成すると、北朝鮮は説明した。北朝鮮の楽団の韓国公演は2002年8月以来、約15年半ぶりだ。

(北朝鮮のポップシンガー、玄松月が北朝鮮使節団の一員として韓国に来ている。これは彼女のNo.1ヒットだ)


玄は2002年頃に金正恩の恋人と噂され、2013年には違法にポルノを制作・販売して銃殺刑となった十数人の芸術家の一味とする誤報が流れたこともあったが、昨年10月には北朝鮮の超エリートとされる朝鮮労働党中央委員会の中央委員候補に抜擢された。

金は過去にも北朝鮮のイメージを和らげるための対外宣伝に、女性バンドを利用してきた。今回の玄の韓国入りには、まさにそうした思惑があると見られている。

(翻訳:河原里香)

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中