北の対話路線転換と中国の狙い――米中代理心理戦争
CCTVではさらに、「なにしろ文在寅は盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代に幕僚長として歴史的な南北会談に立ち会った人物だ。もう一度、今度は自分自身が大統領として平壌を訪れ、平和的に朝鮮半島問題を解決したいと望んでいるだろう。戦争は韓国にとって不利益をもたらすだけだ」という解説を加えた。
こういった特集番組を組んだこと自体、金正恩の政策転換が中国自身の戦略であることを示唆していると解釈される。
それでもなお、CCTVが最後に「双暫停に向かって、どちらが最初の一歩を踏み出すかが問題だ」と結んだことが印象的だった。北朝鮮が近日中に又ミサイル発射をするのではないかという懸念はぬぐえないからなのだろうと思われる。
[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』(飛鳥新社)『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版も)『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。