最新記事

監禁虐待事件

子供13人を監禁虐待した親の家は、排泄物が壁にこびりついていた

2018年1月29日(月)14時21分
ローレン・ギル

13人の子どもたちの父デービッド・ターピン容疑者(左)と母のルイーズ・ターピン容疑者 Riverside County Sheriff's Department/REUTERS

<事件が発覚したカリフォルニアの家でも、子供たちが鎖につながれたまま用を足していた形跡があった>

米カリフォルニア州で13人の子どもを鎖でつなぐなどして監禁し虐待していた疑いのある両親が1月14日に逮捕された事件で、一家がかつて住んでいた米テキサス州の家は「壁に排泄物がこびりつき」、どこもかしこもごみだらけだったと、後にその家を購入した女性が語った。

検察によれば、ネリー・ボールドウィンは2011年、テキサス州北部リオビスタで競売にかかっていたその家を購入した。逮捕されたデービッド・ターピン容疑者とルイーズ・ターピン容疑者は、2~29歳までの子どもを鎖や南京錠でベッドにつないで監禁し、食べ物を十分に与えず虐待した疑いが持たれている。

「壁に排泄物がこびりついていた」と、ボールドウィンは米CNNに語った。「居間にもどの部屋もひどい悪臭が充満していた」

(ターピン容疑者が前に住んでいたテキサスの家では、壁に排泄物がこびりついていた)


事件発覚時に住んでいたカリフォルニア州リバーサイドの自宅でも、捜索した結果、子どもたちが「しばしば鎖をしたまま排泄していた」形跡が見つかったと、リバーサイド郡のマイク・ヘストリン地方検事は1月25日の記者会見で語った。監禁虐待は何年にも及んだとみられている。

鼻を突く臭いが消えない

テキサス州の家は状態が劣悪過ぎたため、ボールドウィンや家族が入居後に病気になっても銀行は一切の責任を負わないという「免責約款」に署名させられたという。ボールドウィン自身は悪臭がひどい物件は多数購入した経験があったため気に留めなかった。

14万5600平方メートルの敷地にあるテキサス州の家の購入に先立って、銀行は家を清掃させた。しかしそれでも悪臭は消えず、「見渡す限りごみの山だった」とボールドウィンはCNNに語った。鼻を突く臭いに耐えられず、8~12リットルの漂白剤を床にまく日々がしばらく続いたという。

「あんな環境で人が住んでいたと考えただけで吐き気がする」と、ボールドウィンは言った。

監禁されていた14歳の娘が自宅から脱出して通報したことで事件が明るみになり、警察は両親を逮捕した。現場に駆け付けた際、警察は3人の子どもが鎖などでベッドにつながれていたのを発見した。その後の捜査で、両親は子どもたちを殴打し、首を絞めるなど暴行していたことが分かった。年に1度しかシャワーを浴びることを許さない、といった厳しいルールに従わせたほか、子どもを栄養失調状態にさせた疑いも持たれている。29歳の子どもの体重はわずか37キロだった。

両容疑者はカリフォルニア州リバーサイドの裁判所で行われた罪状認否で、37の罪状について無罪を主張した。2人はすでに裁判所から、今後3年間子どもに話しかけることを禁じられている。

(翻訳:河原里香)

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中