「平和の祭典」平昌五輪に兵士亡命と軍事演習が落とす影
結局は北朝鮮と米軍次第
北朝鮮は「亡命事件について沈黙を守っている。それは単に、自国民に知られたくないからだ。問題を公にすれば、強固な体制維持に悪影響しかない」と、ある専門家は指摘する。韓国にとっても「問題を悪化させないほうが合理的。とりわけ北朝鮮のオリンピック参加を望んでいる今はそうだ」。
当面のところ最も重要な懸案は、毎年恒例の3月の米韓合同軍事演習かもしれない。これまでの例を考えると、次の合同演習は3月9~18日の平昌パラリンピック期間中に実施される可能性が高そうだ。北朝鮮はこの合同演習を口実にオリンピックに参加しないのではないか、と懸念する人は多い。
一部の韓国当局者は、合同軍事演習の中止または延期を訴えている。城南市の李在明(イ・ジェミョン)市長は11月下旬に声明を出し、政府は「オリンピック開催期間中の軍事演習の中止または延期を前向きに検討するべきだ」と主張。一方の北朝鮮は、11月から3月の毎年恒例の冬季訓練期間に、独自に軍事演習の実施を計画している。
韓国政府はこの問題について公式見解を明らかにしていないが、政府がどう決断するかは外的要因次第だと専門家らは言う。韓国国家戦略研究院のある研究員は、「北朝鮮がさらなる核実験やミサイル発射を行って挑発姿勢を強めれば」軍事演習の中止または延期は難しくなるのではないか、と指摘する。
「現時点では韓国の意思よりも、北朝鮮の挑発行為と米軍の意図のほうが重要だ」
From thediplomat.com
[2017年12月12日号掲載]