最新記事

北朝鮮情勢

国連事務総長「北朝鮮、対話」を──孤立するアメリカ...そして日本

米大統領、エルサレムをイスラエルの首都に認定 Kevin Lamarque-REUTERS

国連事務次長の訪朝は、中国に取り込まれている事務総長の意向通り、「対話交渉」に終わった。トランプ大統領のエルサレム首都化宣言でも国連安保理はアメリカを非難。北朝鮮包囲網にひびが入り、日本にも影響する。

ニューヨークの「多維新聞」が

ニューヨークに本拠地を置く中文メディアで、中国政府関係者が最も「こっそり」読んでいるウェブサイトの一つに「多維(Duo-Wei)新聞」というのがある。

筆者が12月6日に本コラムで「国連事務次長訪朝の背後に中国か?」を書いたところ、それを中国語に翻訳して、多維新聞が「国連事務次長訪朝の黒幕」というタイトルで筆者の記事をそのまま転載している。但し、「日本のメディアの雅虎(ya-hu)(ヤフー)が報道した」という形であって、筆者の名前はない。他のウェブサイトも、この記事を転載。

情報はこのようにして広がっていくのだろうと思うが、中国政府関係者が必ず読むことを知っているので、個人名が書いてないことは、ある意味では幸いなことかもしれない。
 

日本経済新聞が

そうこうしている内に、日本経済新聞が9日、<国連事務総長、北朝鮮「対話による解決を」幹部派遣>という記事の中で、日経独自の取材結果を報じているのを発見した。高橋里奈という記者が、国連本部でグテーレス国連事務総長を直接取材したらしい。それによれば、グテーレス事務総長は、

――フェルトマン事務次長(政治局長)が北朝鮮を訪問したことについて「非核化を達成するための環境をつくり、事態が手に負えなくなる前に対話に基づく外交的、政治的解決を目指すものだ」と説明した。

とのこと。グテーレス事務総長はさらに、

――危機打開に向けて対話路線を構築すべきだとの認識を示した。緊張の緩和に向けて「建設的、オープンで有意義な対話により、非核化を実現しなければならない」と指摘。「我々は対話を促進するために、あらゆることをする」と力を込めた。

と記事にはある。これはまさに中国が主張する方向性と完全に一致している。やはり先般の筆者の推論は間違っていなかったことを示してくれており、その意味ではホッとしている。こういう直接取材の情報は非常にありがたい。

中国メディアは

中国メディアは、「5日から9日にかけて訪朝したフェルトマン国連事務次長と北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)の会談により、北朝鮮と国連との間で、さまざまなレベルにおける交流を通した意思疎通を定例化することが合意された」と報道した。北朝鮮の「朝鮮中央通信」の情報に基づくとした。

フェルトマンは9日、北京経由でアメリカに帰国したが、中央テレビ局CCTVは、フェルトマン訪中期間と重なる形で、4日から8日にかけて米韓が合同軍事演習を行なっていたことを紹介し、北朝鮮が「アメリカの対北朝鮮敵視政策こそが緊張の原因を作っている」と、アメリカを批判していると解説した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

メルツ独首相、ウクライナ大統領と電話会談 継続的な

ビジネス

3月実質消費支出、前年比+2.1%=総務省

ビジネス

3月実質賃金2.1%減、3カ月連続マイナス 名目も

ビジネス

米ビッグスリー、米英貿易協定を批判 「国内自動車産
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 7
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 8
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 9
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 10
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中