金融界で存在感増すビットコイン 各国中銀、制御不能「通貨」に苦慮
商業銀行はこれまでのところ既存の仮想通貨に距離を置いている。ただ、既に電子決済システムが現金に取って代わりつつあることから、仮想通貨の普及でビジネスチャンスを失うことには警戒感を抱く。
このため、スイスの大手銀行UBSを筆頭とする6行は合同で、独自の仮想通貨づくりを試みている。
こうした動きは、銀行システムと決済システムの番人たる中銀にとっては危険をはらむ。
米セントルイス地区連銀のブラード総裁はロイターとのインタビューで「ある日目覚めたら、大半の大手銀行が骨抜きになり、ほとんどの事業がよそに移ってしまっていたということになりかねない」と述べ、規制当局が監視を怠れば金融危機につながりかねないとの考えを示した。
スウェーデンのリクスバンクや英イングランド銀行などは、中銀版デジタル通貨(CBDC)導入の利点について検討している。CBDCの保有者は、中銀に直接債権を持つという点では紙幣の保有者と同じだが、大量の現金を抱えておく不便は免れる。
中銀としては金融業界を通さず、実体経済に直接流動性を供給できるようになるため、金融政策の有効性が増すとの研究もある。しかし、金融危機になれば預金者は市中銀にある預金をCBDCに交換したくなり、取り付け騒ぎを助長する恐れもある。
日本銀行の山岡浩巳・決済機構局長はトムソンロイター主催による金融技術(フィンテック)関連のパネルディスカッションに参加し、仮想通貨の技術が銀行業に革新を起こす可能性があるとした上で、近い将来に仮想通貨が現金に取って代わることはないとの見方を示した。
(Francesco Canepa記者)
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