トランプのアジア歴訪に喜んだ国、戸惑った国
豪華な歓迎
アジア諸国のリーダーにとって、トランプ大統領の思いつきによる言動や自由奔放なツイートや誇張に対応するのは大変だったに違いない。だが、彼らが学んだことの1つは、豪華な歓迎に対しトランプ大統領がよく反応するという点かもしれない。
「中国を訪問した人でこれほどの歓迎を受けた人はいない、と彼らは言うが、私もそう思う」。トランプ大統領は北京訪問後、記者団にこう語った。北京では習近平国家主席自ら、紫禁城を案内した。
アジア歴訪の成果をはかる1つの基準として、トランプ氏は歓待を挙げ、「恐らく誰もこれまで受けたことがないと思う」と述べた。
中国におけるトランプ大統領の友好的な態度は主に、習主席が北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長に対して一段と圧力をかけることを期待する米国の思惑に起因するものだと、外交官らは口をそろえる。
アジア歴訪中におけるトランプ氏の北朝鮮に関する発言は、外交的手段の活用から軍事介入の警告までと幅広い。「われわれを見くびるな。われわれを試そうとするな」と、同氏は韓国国会で行った演説で北朝鮮に呼びかけた。
数日後、北朝鮮はこの演説を「老いぼれによる向こう見ずな発言」と一蹴。これに対し、トランプ氏は「なぜ金正恩氏は私のことを『老いぼれ』と呼んで侮辱するのか。私は一度も彼のことを『チビでデブ』と呼んだことがないのに」とツイートした。さらには外交による解決の兆しを見せ、「まあともかく、私は彼の友人になろうと、とても努力している。いつかそうなるかも!」と記している。
トランプ大統領は北朝鮮戦略をもたずにアジアを訪問し帰国したと、オバマ政権で米国連大使を務めたデービッド・プレスマン氏は言う。
「チビデブ発言は核戦略ではない」と同氏は指摘。北朝鮮に対する米国政府のアプローチは「気まぐれで無知な大統領の思いつきとエゴ、そして芝居じみた打算が源となっている」と付け加えた。
(翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)
[マニラ 14日 ロイター]
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