イタリア政界、来春の総選挙にらみ主要政党がポピュリズム政策乱発
無責任な約束
チューリン大学教授(社会学)で有力な政治評論家でもあるルカ・リコルフィ氏は、今度の選挙では「ハングパーラメント(中ぶらりん議会)」が誕生しそうなので、政治家たちは約束し放題でも、恐らくそれを守らなくて済むと考えているとの見方を示した。
リコルフィ氏は「理性的な政党が存在しないので、レンツィ氏も有権者を取り込むために無責任な約束が可能になる。なぜなら五つ星運動や中道右派がもっと無責任に振る舞っているからだ」と話す。
ベルルスコーニ氏は1994年に「すべての人への減税」を約束して政界入りして以降、しばしばポピュリスト政治家と呼ばれてきた。しかし今や同氏やレンツィ氏が、穏健な政治指導者として五つ星運動の「暴走」にブレーキをかける役回りとなっている。
ベルルスコーニ氏の主な連携相手は、マッテオ・サルビーニ氏が率いる北部同盟だ。この北部同盟も独自の並行通貨構想を持っているほか、個人と企業の税率を15%に一律化する新税制(フラットタックス)を導入することを望んでいる。
北部同盟の広報担当者は、フラットタックスで歳入は400億ユーロ(GDPの約2.5%)減少するが、脱税が少なくなることと経済成長加速ですぐに穴埋めできると説明した。
同担当者は、政権を取れば最初の予算案にフラットタックスを盛り込むつもりで、財政赤字が増えたりEUが反対しても、何の問題もないと主張。「われわれは現行の財政赤字目標を尊重する意図はない。われわれは欧州に対してもらう以上の支払いをしている以上、他人の意見など気にしない。一体誰がわが国の歳出や財政赤字に口を出せるのか」と言い切った。
過半数獲得勢力見込めず
ベルルスコーニ氏もフラットタックスを公約しているものの、税率は23%と北部同盟より高く、より段階的に導入する方針。また同氏は、五つ星運動が最低所得保障制度を提唱していることに対抗し、低所得層向けに新たな給付金を交付することも表明した。