防衛省、F3開発決定先送り検討 中国・北朝鮮対応の戦闘機像決まらず
11月13日、国産を視野に入れた航空自衛隊の次期戦闘機「F3」について、防衛省が開発決定の先送りを検討していることがわかった。写真は防衛省がステルス戦闘機の開発を目指して作った先進実証機。愛知県豊山で昨年1月撮影(2017年 ロイター/Kiyoshi Takenaka)
国産を視野に入れた航空自衛隊の次期戦闘機「F3」について、防衛省が開発決定の先送りを検討していることがわかった。2018年夏までに国産・国際共同開発・輸入のいずれかから選ぶ方針だったが、中国が空軍力を増強する中、将来にわたって日本の航空戦力が優位を保つための戦闘機の姿を明確に描けていないためだ。
複数の関係者によると、次期中期防衛力整備計画に具体的な事業として盛り込まない公算が大きいという。
F3は、2030年ごろから退役が始まる空自の支援戦闘機「F2」・約90機の後継機。開発から調達、維持管理、廃棄までを含めた総事業費は4兆円とも言われ、各国の防衛産業が大型の武器開発案件として参画に関心を示している。
防衛省は、19年4月から始まる5カ年の中期防で事業化することを目指し、日本で単独開発するのか、他国と共同開発するのか、外国から輸入するのかを18年夏までに決めることにしている。昨年から2度、検討に必要な技術情報を収集するため、情報提供に応じる企業の募集を行った。
兵器開発に必要な「情報要求」(RFI)と呼ばれる手続きで、本来であれば日本が求める戦闘機のコンセプトが書類に書かれている。しかし、書類に目を通した企業関係者は「どんな戦闘機を作りたいのか、まったく分からなかった」と話す。
東シナ海上空で活動を強め、陸海空の3軍を合わせて2700機の作戦用航空機を有する中国軍は、ステルス戦闘機「J20」と「J31」を開発中。
英国の国防戦略研究所が発行する「ミリタリーバランス」によると、20年前後に運用を開始するとみられるという。さらに弾道ミサイルや射程1500キロ以上の巡航ミサイルを保有、ミサイル搭載可能な無人機も開発しているとみられる。
一方、日本は最新鋭のステルス戦闘機「F35A」を42機導入するほか、現主力戦闘機「F15」200機のうち、半分の100機の近代化改修を予定している。
F15の残り100機の扱いが決まらず、F2が退役していく中で、「航空優勢を維持するには後継機をどんな戦闘機にすべきか、省内で意見集約ができていない」と、政府関係者は話す。
イージス艦や陸上配備型イージスなどを含め、「防空体制全体の中で考える必要がある」と同関係者は指摘する。