中国、THAAD配備の韓国と関係修復か 首脳の相互訪問へ水面下で交渉?
韓国がTHAAD導入を決定して以来、圧力を高めていた中国だが、共産党大会が終わった途端、友好ムードに切り替わった。2012年1月撮影(2017年 ロイター/David Gray)
<北朝鮮ミサイルの脅威に対抗するために韓国が新型迎撃ミサイルTHAADを導入して以来、経済・外交などで圧力を高めていた中国。ところが共産党大会が終わった途端、友好ムードに切り替わった。果たしてその真意は?>
5年に1度の中国共産党大会が終わり、新たな最高指導部メンバーが選ばれた。その翌日、中国外交部の定例記者会見で、耿爽報道官は韓国との関係回復を目指すことを明らかにした。
「各分野で友好関係を回復させ、両国関係を一段階さらに堅固で安定的に発展させることを願います。両国が経済と貿易、人文などの分野で協力するのは、両国国民に実質的な利益をもたらしてくれます」
これを受けて韓国メディアは「THAAD配備報復に雪解けか?」と一斉に報じている。
SBSによれば、従来「THAAD配備の撤回だけが中韓関係の回復の唯一の道である」と繰り返してきた中国の姿勢とは明らかに変化が見られるという。党大会前に行われた中韓通貨スワップ協定の延長締結や両国の国防長官の会談も、こうした関係修復の流れにあるものと理解されている。
韓国によるTHAAD配備へ中国当局がとった報復措置は経済、外交など多方面にわたるが、一番顕著な例は中国国内での韓国旅行商品の販売停止だろう。この報復措置がとられた3月15日以降、中国人の韓国旅行は全面的に禁止された。外国人観光客の半分を占める中国旅行者が途絶えて、韓国の観光産業は大打撃を受けている。
中国の旅行代理店が韓国ツアー商品を販売再開
ところが、韓国旅行商品の販売についても、中国の一部旅行代理店が再開し始めた。
一方、KBSによると、中国河北省にある旅行代理店は24日からWebサイトに韓国ツアー商品を掲載したという。11月に韓国を訪ねる6泊7日のツアーで、1人あたり1480元(約2万5000円)という超格安な価格を設定している。
7カ月ぶりにまた韓国ツアーの団体旅行商品を掲載したこの旅行代理店の担当者は、「30〜35人向けの団体旅行です。現在12月分を募集しているところで、11月分は確定済みです」と語ったが、会社名は伏せて欲しいと要望している。韓国に対する中国国内の感情がまだ好転していないためだという。