神戸製鋼所 、国内企業の安全性確認でも霧晴れず
中でも読めないのは海外の動向だ。「契約違反に対して、海外メーカーの方が厳しい対応をする可能性がある」(業界関係者)という。
米司法省が神戸鋼の米子会社に資料を提出するよう要求したほか、欧州航空安全機関(EASA)は航空機メーカーに対し、合法性が証明されるまで、調達を控えるように勧告した。
司法省の書類提出要求について、のぞみ総合法律事務所の結城大輔弁護士は「詳細が分かっているわけではないが、連邦法の詐欺罪の可能性を見据えて、捜査が始まったと考えるのが一番オーソドックス。司法省が動かなければ民事上で終わったかもしれないが、司法省が動いたことで、刑事事件として展開する可能性があり、深刻だ」と述べている。
JIS認証取り消しの場合、事業に影響も
もう1つの懸念は、日本工業規格(JIS)やISOの認証取り消しになる可能性。世耕弘成経済産業相は、認証機関に対し、現在再検査に入っているコベルコマテリアル鋼管の秦野工場だけでなく、他の工場への再審査の検討を指示した。JISの認証を受けている工場は、秦野工場を含めて国内外で20カ所。再審査の結果次第で、状況改善の勧告、認定の一時停止、または取り消しの可能性がある。
秦野工場以外に認証機関が再審査に入った工場があるかどうかは分かっていない。神戸鋼の広報担当者は、JISとISO9001の審査は継続中だとしている。
秦野工場の年間生産量は5万6000トン。そのうち、43%がJISマークを表示していたという。
ある製造業企業の幹部は「自社に置き換えると、JIS認証の取り消しは事業にインパクトがある」と話す。JIS基準があることで、個別に仕様書(スペック)を詰めなくても良いという利点がある、という。
また、公共工事など内外の入札案件では、JISやISOを入札の条件にする場合もあり、そうした事業に影響が出る可能性もある。