急成長の中国航空産業で不正部品疑惑 米国にも波紋
Shi氏の指摘を受けて、上海にあるムーグのサプライヤー品質管理担当部門が2015年8─9月にNHJの内部調査を行い、NHJがムーグに納品する部品の認証書類の偽造を試みていたほか、無断で孫請けに製造を委託していたことが分かった。
認証書類がどの部品向けのものかは、ロイターが確認したムーグのメールからは定かではない。ロイターは、NHJがこうした行為を行う理由を断定できなかった。
「極めて不満が高まっている状況だ。中国の重点成長サプライヤーの1つが信頼できないということだ」と、ムーグの品質管理担当部門のマネジャーは8月25日付のメールにこう記した。
FAAの報告書は、NHJが部品を未承認のサプライヤーに外注する一方、下請け業者は製造記録をねつ造し、決められた製造過程を守らなかったと結論している。FAAは、未承認の代替材料を使用してムーグの部品を製造したとのShi氏の指摘には同意しなかった。
同報告書はまた、下請けで部品のカドミウムコーティングを行っていた南通申海工業科技が、必要の半分しか焼付工程の時間を取らず、製造記録をねつ造したと指摘した。
NHJ幹部のLi Jian氏は、ムーグの内部メールやFAAの報告書が指摘しているような違反行為はなかったと話す。
「検査で彼らがこうした事案を提起することはなかった。ムーグは正式ルートでわれわれに知らせるべきだったが、そうした連絡をムーグやFAAから受けたことはない」とLi氏はロイターに語った。
ムーグは、サプライヤーとのやり取りについてはコメントしないとしている。FAAは、コメントの求めに応じなかった。
南通申海工業科技のCheng Daoguang氏は、ロイターに対し、「製造工程記録を偽造しておらず、FAAからの訪問や査察はなかった」と述べた。NHJ向けにこうした部品を製造したのは2015年2─6月だったという。
Cheng氏は、NHJやムーグから守るべき基準について明確な指示はなく、本来は焼付時間をもっと長くとるべきだったと認識したのは、2015年8月にShi氏の訪問を受けた時だったと言う。
NHJのLi氏は、南通申海工業科技の問題についてコメントしなかった。