中国当局、貧困撲滅政策に注力 その影で取り残される都市移住者たち
貧困逆戻りのリスクも
政府の貧困ラインは年間所得2300元(約4万円)だが、2016年末時点でなお4335万人がそれを下回っていた。1000万人を貧困から脱却させるのが今年の政府目標であり、そのペースで行けば、少なくとも公式的には2020年までに深刻な貧困は解消されるはずである。
同対策によって、地方への注目が高まり、インフラなどが改善されるとみられている。
世界銀行のジム・ヨン・キム総裁は12日、中国が1990年以降に8億人を貧困から脱却させた功績は「人類史における素晴らしいストーリーの1つだ」と語った。
だが多くの研究者やソーシャルワーカーは、中国の貧困撲滅キャンペーンについて、同国の貧困者が直面している最も深刻な問題に対処していないと口をそろえる。
「個人的には、2020年までに貧困を緩和するという政府目標には全く賛同しかねる」と、北京の中国人民大学で同問題を研究するYang Lixiong教授は言う。「支援策によって貧困は短期的に緩和するかもしれないが、長期的な観点から見ると、また貧困に陥りやすいと言える」
一部の西部地域で貧困から抜け出した住民の最大で半数が、もし政府が支援をやめた場合、貧困ラインを再び下回ってしまうだろうと、Yang教授は予想する。
同教授はまた、学校や医療へのアクセスといった長期的な問題への配慮が十分ではないと指摘。
「非常に長い期間で見なければ、貧困を減らすことはできない。貧困がなくなるとは決して言えない。撲滅するなど不可能だ」
中央政府当局者は、地方レベルでの政策実行が不十分であることや資金乱用といった問題を認識している。
彼らはまた、地方の最貧困層が抱える最も差し迫った問題に対処するため、政策の焦点がかなり絞られていることを認めたうえで、医療や教育の向上に向けて多くの努力がなされていると強調した。
「われわれは、まずはこの闘いに勝利し、現在ある問題を解決しなくてはならない」と、2020年以降も政策を継続するかどうかについて、ロイターが投げかけた質問にLiu氏はこう答えた。