最新記事

銃乱射事件

ラスベガス銃乱射犯の同居女性は何者か

2017年10月4日(水)11時42分
メリナ・デルキック

銃乱射犯パドックの同居人マリルーは、事件の前に出国したとみられている Las Vegas Metropolitan Police Department/REUTERS

<乱射の動機解明のカギを握るとみられる同居女性は、アメリカで複数の素性を持ち住所も転々とし、一時は2人の男性と結婚していた>

米史上最悪の銃乱射犯、スティーブン・パドックと同居していたガールフレンドで、重要参考人として追われているマリルー・ダンレーはフィリピン生まれで20年以上アメリカで暮らしている。2つの社会保障番号を使い、2人と男性と同時に結婚していたことも公的な記録から判明した。

死者59人と600人近い負傷者を出した銃撃の動機はまだ謎に包まれたまま。それを知る糸口となるかもしれない女性の人生もまた、謎だらけだ。同時に2人の夫、破産、2つの社会保障番号、いくつかの州に渡って転々と変わる住所、住んでいる州によって年齢まで違うこともある。そしてパドックは事件の3日前、フィリピンのマリルーの家族に10万ドルを送金している。FBI(米連邦捜査局)は、海外にいる彼女を一刻も早く連れ戻そうと必死だ。

本誌の調べでは、マリロウはいくつもの名前を使い分けており、記録も矛盾している。
ダンレーはマリルー・ネイティビダドとしてアメリカに来て、1990年にギアリー・ダンレーと結婚した。現在76歳の彼はアーカンソー州に住んでいるが、取材には応じなかった。

1996年に、マリルー・ダンレーはジョゼ・バストスと結婚し、マリルー・バストスになる。だが記録によると、彼女は2015年まで最初の夫と離婚していない。

ダンレー夫妻はテネシー州とアーカンソー州に住み、バストス夫妻はカリフォルニア州に住んでいたが、どちらの婚姻届もラスベガスのあるネバダ州クラーク群に提出されている。マリルーには現在カリフォルニアに住む娘がいるが、父親が誰かはわからない。

カリフォルニアでは彼女の名前はマリロウ・ネイティビダド・バストスで誕生日は1962年1月、現在55歳になるが、異なる社会保障番号を使用しているネバダでは、名前はマリルー・ルー・ダンレーで誕生日は1954年12月、62歳になる。

時には、複数の素性が混じり合うこともある。マリルーは2012年にバストスの姓で破産申請しているが、当時彼女はまだダンレーと結婚していて、しかも銃乱射のパドックとネバダ州リノで暮らしている。リノの自宅の隣人によれば、マリルーはよくカリフォルニアの娘を訪ねていたという。また隣人たちは、長いこと家を空けることが多いダンレー夫妻を「世捨て人」と呼んでいたという。

マリルーは多くの住所を、時には同時に、持っていた。アーカンソー、テネシー、カリフォルニア、フロリダなどの州を転々とし、その州内でもあちこちの町を移動した。

警察は事件後直ちに、マリルーは銃乱射とは無関係と発表したが、事件のカギを握る人物として今も行方を追っている。

<お詫びと訂正>
上記記事の「同時に2人の夫」がいたという部分は、事実誤認でした。この点をメインにした当初のタイトル「ラスベガス銃乱射犯の同居女性は2人の夫を持ったこともあるフィリピン人」も「ラスベガス銃乱射犯の同居女性は何者か」に訂正し、お詫びします。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中