北朝鮮の電磁パルス攻撃で「アメリカ国民90%死亡」――専門家が警告
実行の可能性は低い?
ただ、多くの専門家はEMP攻撃が実行されるかどうか疑っている状態だ。ミドルベリー国際大学院の東アジア不拡散プログラムでディレクターを務めるジェフリー・ルイスは5月、北朝鮮にEMP攻撃を実行する能力があるかと問われると、しばらく笑い続けた。
北朝鮮による核攻撃の実現性が低いことを裏付けるように、9月に米国防総省は、EMP攻撃によるアメリカへの脅威を評価する委員会への資金援助を撤回した。
しかしプライの報告書はそこに水を差す。「アメリカは『大規模な諜報の失敗』で北朝鮮の攻撃能力を過小評価しており、北朝鮮のアメリカ本土への攻撃について真剣になって取り組むべきだ」
北朝鮮の弾道ミサイル、核兵器の保有数、弾頭の小型化、急速な開発が進んでいるとされる水素爆弾そしてEMP攻撃がアメリカに与える脅威は過小評価されていると指摘する。
北朝鮮が使用するのが短距離ミサイルだろうと、貨物船や潜水艦から爆弾を発射しバルーンで高度30キロ~数百キロメートルの高層大気圏まで上昇させて爆発させれば、アメリカを攻撃することは可能と言う。北朝鮮の衛星によってEMP攻撃が行われる可能性もある。
【参考記事】北朝鮮、現在所有するミサイルで米本土を壊滅的打撃 EMP攻撃を検討
有事のアメリカの脆弱性を危惧する声は他でも上がっている。元下院議長のニュート・ギングリッチはこれまでも、アメリカは攻撃を受ける準備ができていないと繰り返し言ってきた。
北朝鮮は9月、ついにICBMに搭載可能な水素爆弾の開発に成功し、EMP攻撃を始めると宣言した。このミサイルの射程は6200マイルで、シアトル~サンフランシスコ~ロサンゼルスなどアメリカの大部分に着弾できるものだとしている。
米朝間では、「ロケットマン(金正恩国務委員長)」、「おいぼれ(ドナルド・トランプ米大統領)」とこき下ろし合う舌戦が過激化。インディペンデントに掲載された記事でプライは、これがアメリカと北朝鮮の緊張に拍車をかけていると懸念する。事態に歯止めはかかるのか。不穏な静寂が続いている。
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「暴君」金正恩の虚像と独裁国家の実像
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Chapter 2 MILITARY
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世論に見る米核攻撃の現実味
Chapter 3 POLITICS
独裁者を悩ます中枢幹部の戦い
党大会で本格始動した正恩政権の「頼みの綱」 ほか
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