北朝鮮の旧式な対空装備、米軍B1爆撃機の撃墜は困難か
韓国国防省の2016年白書によると、北朝鮮の保有戦闘機は約810機だが、ほとんどは旧ソ連もしくは中国製の相当な時代遅れの代物で、事故に悩まされている。2014年には2カ月間で訓練中に3機が相次いで墜落した。
ジョージタウン大学ウォルシュ外交大学院のデービッド・マクスウェル氏は「北朝鮮機が米軍の護衛戦闘機部隊への攻撃に成功するかどうかは非常に疑わしい」と語った。
韓国のある国会議員によると、23日のB1爆撃機の飛行についても北朝鮮は具体的な反応を示さず、知らなかったように思われる。この議員は同国情報機関から説明を受け、北朝鮮の動きがなかったことを踏まえて米国側がB1の航路を明らかにしたようだと述べた。
全面衝突リスク
北朝鮮が米軍機を撃墜できる可能性が最も高いのは、「KN─06」と呼ばれる地対空ミサイルシステムだろう。何度かの試験で欠陥を改善したこのミサイルについて、金正恩朝鮮労働党委員長は5月、「完璧だ」と評価した。
元米空軍将校のジョージ・ハッチソン氏の分析では、KN─06はロシアの「S─300」をベースに開発されたとみられ、射程はおよそ150キロメートルで、移動走行が可能なので運用の効率性や生残性が高まるという。
もっとも複数のアナリストによると、ごく最近実戦配備されたばかりである点からすれば、信頼性は定かではない。
ランド研究所のベネット氏は、より射程が長い「SA─5」というミサイルも存在するものの、これは旧式技術に依拠しており、米軍機の性能に及ばないと説明した。
何人かのアナリストは、北朝鮮が領空外の米爆撃機撃墜を宣言したのは、B1が発進するグアムを攻撃するという意味かもしれないとの見方を示した。韓国のシンクタンクのミサイル専門家Kim Dong-yub氏は「北朝鮮は領空に侵入する米軍機への攻撃を試みるだろうが、対空ミサイルの能力には限界がある。この宣言は北朝鮮が以前に警告していたグアム近海への中距離ミサイル発射と密接な関連があるのではないかと感じている」と話した。
一方IISSのエルマン氏は、北朝鮮の防空行動をきっかけに意図しない形で米朝の全面的な軍事衝突が生じる展開を懸念している。
(Christine Kim、David Brunnstrom記者)