自動運転の到来で誰もがテロリストになれる時代に?
盗難車が攻撃に使われたストックホルムでの事例も考える価値のある一件だ。配達用トラックへのセンサー技術の導入は進んでおり、車が盗まれたと報告が入れば車の機能を失わせるキル・スイッチの導入も取り得る選択肢だろう。しかしCisco社のセキュリティ研究者によると現実はそう簡単な話でもないらしい。自動車交通に関する責任者であるBarry Einsigと、セキュリティビジネス部門のアーキテクト Franc Artesに聞いた話によると、こういったキル・スイッチを実現する技術はおそらく10年前からあるという。Artes氏によると、車が通信を行える場合、これはことさら考えるべき話だという。
「自動車が通信を行えることでシステムのアップデートや証明書の破棄などを行う機会が生まれ、ゆくゆくは行動範囲をジオフェンスで制限したり車をシャットダウンすることもできるようになるでしょう。ただ問題なのは技術的なことではなく、セキュリティとプロセスにあるのです。9.11以降、乗り物をシャットダウンすることについて多くの研究が行われましたが、このやり方を推奨しない理由としてサイバーセキュリティに関する問題があること、そして高速を走る大型トラックが強制的にシャットダウンされたりしたらより大きな安全上の問題に発展する可能性があげられます」
テクノロジーがどのように攻撃を簡単にするのか
善意のハッカーや研究者達の努力もあり、簡単に車をハッキングできる例を我々はすでに多く知っている。自動運転車であろうがなかろうが、テロリストが車を攻撃に使うことは全くもってあり得る話ということでもある。Einsig氏やArtes氏によれば交通業界の技術インフラはこれまで所有者で閉じたシステムの上に成り立っていたという。これが今や現代的なネットワーク構造に移り変わろうとしているところだが、専門家はこの過渡期にシステムが攻撃者にさらされることに懸念を持っている。