ダンスで衰え知らずの脳に 運動で海馬が増大──ドイツの研究結果
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ダンスVS持久力運動、より効果的なのはどっち?
脳を衰えさせない活動、というと、計算やクイズなどを想像するが、脳の若さを保つのにダンスが非常に効果的ということが、学術専門誌『フロンディアーズ・イン・ヒューマン・ニューロサイエンス』にこのほど発表された研究で明らかになった。
研究を行ったのは、ドイツ神経変性疾患センターのカトリン・レーフェルト博士率いるチーム。「老化に伴う記憶や身体能力の低下を緩めたり、逆に改善したりするのに身体的なエクササイズが有効」とするレーフェルト博士は、エクササイズの種類や内容によって効果に違いがあるのか、に注目した。
そこで、2種類のエクササイズで実験を行うことにした。1つはダンス。そしてもう1つは、サイクリングやウォーキングなど持久力を必要とする運動だ。平均年齢68歳のボランティアをダンスのグループ(14人)と持久力の運動のグループ(12人)という2つに分け、それぞれクラスを1年半にわたって毎週受けてもらった。
運動で海馬が増大、ダンスは平衡能力も改善
2つのグループで違いを明確にするために、ダンスのグループは参加者にとって常に「チャレンジ」となるようにした。ダンスの種類は、ジャズダンス、スクエアダンス、ラテンダンス、ラインダンスと豊富にし、ステップやフォーメーション、スピードやリズムは2週間に1度、新しいものにした。振り付けをタイミングよく思い出さなければならない、というプレッシャーの中、インストラクターからヒントをもらわずに踊る、という点がダンス・グループにとって最も難しい点となったようだ。
1年半のレッスンの後、参加者の海馬について調べた。海馬は、記憶や学習を司る脳の部分で、年齢とともに萎縮し、アルツハイマー病からの影響を受ける部分でもある。また実験では、怪我の防止につながる平衡感覚についても検証した。
1年半のエクササイズを通じて、どちらのグループも海馬が増大した。ただし、平衡感覚の能力については、ダンスのグループのみで改善が見られたという。レーフェルト博士は、ダンスのグループが経験した、限られた時間内に振り付けを思い出さなければいけないという状況が、平衡感覚の能力向上に寄与したのではないか、と話している。
アンチエイジ・プログラムに活用
科学系の米ニュースサイト「サイエンス・デイリー」によると、レーフェルト博士は今回の実験から得たデータを参考に、脳の老化と戦う新たなフィットネス・プログラムを開発する意向だ。「Jamming(ジャミン、音楽の即興演奏)」と「gymnastic(ジムナスティック、体操)」を組み合わせた造語「Jymmin(ジミン)」という名の、体の動きから音(メロディやリズム)を奏でるシステムを評価しているところだという。
レーフェルト博士は「自立して健康的な生活をできるだけ長く送りたいと誰もが思うもの。運動は、リスク要素に対抗したり老化による衰えを遅めたりして、こうした自立した健康的な生き方に寄与するライフスタイル要素の1つ。ダンスは特に高齢者にとって、心と体に新たな課題を設けるのに強力なツールだと思う」と述べている。
自分の好きな音楽に合わせて踊るなら、気持ちまでハッピーになれそうだ。週1度で効果が出るようなので、スポーツジムのプログラムや習い事、サークルなど、無理せずに続けられる。さあ、踊りに行こう!
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