中国ミレ二アル世代にまん延する自虐的「喪の文化」
18歳から35歳くらいまでの中国ミレニアル世代の人口は、約3億8000万人。先行世代には思いもよらなかったような機会にも恵まれているが、彼らが抱いていた希望は実現困難になりつつある。
今年、大卒者の平均初任給は16%下落し、月4014元(約6万7000円)になった。国内大学の卒業者が過去最高の800万人(1997年の10倍近い)に達し、就職競争が激化しているためだ。
Zhaoping.comの調査によれば、エリート層である「ウミガメ」(多くは多額の費用をかけて海外留学し帰国した者)でさえ、2017年卒業者の半数近くは、月6000元を下回っている。回答者の70%は、給料が「期待を大きく下回る」と答えている。
マイホーム購入はほぼ中国全土で共通する夢だが、北京、上海、深センといった大都市で、より高級な住宅への住み替えはますます難しくなりつつある。
中国不動産関連サイト最大手のFang.comによれば、北京の中古住宅市場では2016年に価格が36.7%も跳ね上がり、2寝室の平均的な住宅価格は約600万元(約1億円)に達した。これは同都市の住民1人あたり平均可処分所得の約70倍である。ちなみにこの比率は、ニューヨーク市では25倍に満たない。
Ziroom.comによれば、北京の賃借人は推定800万人で、その大半がミレニアル世代とされているが、E-House China R&D Instituteの調査結果では、1人あたり家賃の中央値が過去5年間で33%上昇し、6月には月2748元に達したという。これは同市の所得中央値の58%に相当する。こうした住宅コストの上昇によって、中国の若年労働者は市の周縁部に住まざるを得ず、ストレスの多い長時間通勤を強いられる場合が多い。
このような経済的圧迫は、中国若年層の晩婚化にもつながっている。
東部の主要都市である南京では、公式統計による初婚年齢の中央値が、2012年の29.9歳から、昨年は31.6歳に上昇した。
<高まる期待>
「喪」の世代と対照的なのが、それ以前の数十年間、中国経済が2桁成長を続けていた時期に成人した世代の楽観主義である。この世代は、より厳しい時代を経験した「吃苦」世代である両親・祖父母にとっては夢でしかなかったようなキャリア展望と生活向上への期待をモチベーションとしてきた。