トランプ、議会に圧力 税制改革の必要性アピール
8月30日、トランプ米大統領は国内の法人税率について、15%への引き下げが依然望ましいとした上で、法人税減税は国の競争力を取り戻すために不可欠との認識を示した。写真は同日、ミズーリ州で税制改革について話すトランプ大統領(2017年 ロイター/Kevin Lamarque)
トランプ米大統領は30日、税制改革について演説し、雇用創出に向けて「米国のための」法人税減税が必要だと訴えた。議会での合意が必要だと強調し、民主党にも協力を求めたが、具体策は示さなかった。
ミズーリ州スプリングフィールドで行った演説で、大統領は国内の法人税率について、15%への引き下げが依然望ましいとした上で、法人税減税は国の競争力を取り戻すために不可欠との認識を示した。
トランプ氏は演説で「米国で雇用を維持し、雇用を創出するとともに、労働者を獲得するために、米国の法人税率を引き下げねばならない。理想としては税率を15%に引き下げたい」と語った。
ただ、議会では現行35%の法人税率について、25%への引き下げで合意できるかどうかも不透明とみられている。また、アナリストやロビイストの間では税制改革法案の年内可決に悲観的な見方が広がっており、包括的な改革ではなく単純な減税にとどまるとの観測も一部で出ている。
トランプ氏は演説で、議会が医療保険制度改革法(オバマケア)見直しで合意できなかったことなどを念頭に「議会に落胆させられたくない」と強調、「議会は復活を遂げるだろう。そう願う。米国がそれを期待している」と述べた。
大統領は、法人税減税を行えば経済成長が押し上げられ、米企業の競争力が高まることから、賃金上昇につながるとしているが、民主党は、こうした考えが過去数十年間に労働者と富裕層の格差拡大の原因になったとして否定的だ。
下院歳入委員会の民主党トップであるリチャード・ニール議員は「トランプ大統領がこれまでに示してきた税制改革案を踏まえると、富裕層や大企業が最終的な勝者になる」との見方を示した。
一方、共和党のライアン下院議長は「(改革)実現に向けた決意でわれわれは団結している」と表明した。
トランプ大統領は税制改革の原則として、簡潔性、競争力のある税法、中間層向け減税、国際的な法人税の改革の4つを挙げた。