最新記事

米軍事

北朝鮮ミサイル発射で注目集まる米国「迎撃」の選択肢

2017年8月30日(水)17時24分

8月29日、北朝鮮が日本上空を通過する弾道ミサイルを発射したことにより、今後試験発射されるミサイルについて、米政府が迎撃を検討する圧力が高まる可能性がある。写真は北朝鮮によるミサイル発射実験の模様。KCNA提供写真(2017年 ロイター/KCNA)

北朝鮮が29日に日本上空を通過する弾道ミサイルを発射したことにより、今後試験発射されるミサイルについて、米政府が迎撃を検討する圧力が高まる可能性がある。ただ迎撃が成功するとの確証はなく、米当局者は、北朝鮮情勢の一段の緊迫化を警戒している。

政府当局者の1人は、今回のミサイル発射を受け、飛行中のミサイルを迎撃する可能性に一段と焦点が当てられるとの見方を示した。

トランプ米大統領が「あらゆる選択肢がテーブルにある」と繰り返し述べる一方で、米国で、直接的な軍事行動に向けて政策が急速にシフトしている兆候はみられていない。

ただ、29日のミサイル発射によって浮き彫りとなったのは、トランプ大統領による厳しい口調、制裁決議、朝鮮半島での軍事力の誇示は、北朝鮮の指導者である金正恩朝鮮労働党委員長の行動を阻止するにはほとんど効果を見せていないということだ。

マティス米国防長官は既に、米国または同盟国の領有区域に対して危険とみなされるミサイルは迎撃すると表明している。不透明なのは、今回のように日本上空を通過したものの同国の領有区域が直接的な脅威を受けなかったミサイルに対し、米政府が多層防衛システムを配備する用意があるかどうかだ。配備された場合、自衛行為というよりも軍事力の誇示とみなされるだろう。

米国防次官補(東アジア担当)を務めたデービッド・シアー氏は「政府の審議では、検討対象となる選択肢の一つだろう」と述べた。

一部のアナリストは、北朝鮮がこうした行為を戦争行為とみなし、韓国と日本に対して壊滅的な被害をもたらす可能性のある軍事的報復を行う危険性があると指摘する。

また、北朝鮮に隣接し主要な貿易相手国である中国が、米国の直接的な軍事行動に反発する可能性も高い。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アップル、見通しさえず株下落 第4四半期は予想上回

ワールド

米裁判所、マスク氏訴訟の手続き保留を決定 大統領選

ワールド

北朝鮮、31日発射は最新ICBM「火星19」 最終

ワールド

原油先物、引け後2ドル超上昇 イランがイスラエル攻
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:米大統領選と日本経済
特集:米大統領選と日本経済
2024年11月 5日/2024年11月12日号(10/29発売)

トランプ vs ハリスの結果次第で日本の金利・為替・景気はここまで変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本で「粉飾倒産」する企業が増えている理由...今後はさらなる「倒産増加」が予想される
  • 2
    「まるで睾丸」ケイト・ベッキンセールのコルセットドレスにネット震撼...「破裂しそう」と話題に
  • 3
    幻のドレス再び? 「青と黒」「白と金」論争に終止符を打つ「本当の色」とは
  • 4
    脱北者約200人がウクライナ義勇軍に参加を希望 全員…
  • 5
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 6
    北朝鮮軍とロシア軍「悪夢のコラボ」の本当の目的は…
  • 7
    天文学者が肉眼で見たオーロラは失望の連続、カメラ…
  • 8
    中国が仕掛ける「沖縄と台湾をめぐる認知戦」流布さ…
  • 9
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 10
    自爆型ドローン「スイッチブレード」がロシアの防空…
  • 1
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 2
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴出! 屈辱動画がウクライナで拡散中
  • 3
    キャンピングカーに住んで半年「月40万円の節約に」全長10メートルの生活の魅力を語る
  • 4
    幻のドレス再び? 「青と黒」「白と金」論争に終止符…
  • 5
    2027年で製造「禁止」に...蛍光灯がなくなったら一体…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語ではないものはどれ?…
  • 7
    世界がいよいよ「中国を見捨てる」?...デフレ習近平…
  • 8
    日本で「粉飾倒産」する企業が増えている理由...今後…
  • 9
    「決して真似しないで」...マッターホルン山頂「細す…
  • 10
    【衝撃映像】イスラエル軍のミサイルが着弾する瞬間…
  • 1
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 2
    「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
  • 3
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 6
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 7
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 8
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料…
  • 9
    エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明…
  • 10
    コストコの人気ケーキに驚きの発見...中に入っていた…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中