北朝鮮ミサイル発射で注目集まる米国「迎撃」の選択肢
8月29日、北朝鮮が日本上空を通過する弾道ミサイルを発射したことにより、今後試験発射されるミサイルについて、米政府が迎撃を検討する圧力が高まる可能性がある。写真は北朝鮮によるミサイル発射実験の模様。KCNA提供写真(2017年 ロイター/KCNA)
北朝鮮が29日に日本上空を通過する弾道ミサイルを発射したことにより、今後試験発射されるミサイルについて、米政府が迎撃を検討する圧力が高まる可能性がある。ただ迎撃が成功するとの確証はなく、米当局者は、北朝鮮情勢の一段の緊迫化を警戒している。
政府当局者の1人は、今回のミサイル発射を受け、飛行中のミサイルを迎撃する可能性に一段と焦点が当てられるとの見方を示した。
トランプ米大統領が「あらゆる選択肢がテーブルにある」と繰り返し述べる一方で、米国で、直接的な軍事行動に向けて政策が急速にシフトしている兆候はみられていない。
ただ、29日のミサイル発射によって浮き彫りとなったのは、トランプ大統領による厳しい口調、制裁決議、朝鮮半島での軍事力の誇示は、北朝鮮の指導者である金正恩朝鮮労働党委員長の行動を阻止するにはほとんど効果を見せていないということだ。
マティス米国防長官は既に、米国または同盟国の領有区域に対して危険とみなされるミサイルは迎撃すると表明している。不透明なのは、今回のように日本上空を通過したものの同国の領有区域が直接的な脅威を受けなかったミサイルに対し、米政府が多層防衛システムを配備する用意があるかどうかだ。配備された場合、自衛行為というよりも軍事力の誇示とみなされるだろう。
米国防次官補(東アジア担当)を務めたデービッド・シアー氏は「政府の審議では、検討対象となる選択肢の一つだろう」と述べた。
一部のアナリストは、北朝鮮がこうした行為を戦争行為とみなし、韓国と日本に対して壊滅的な被害をもたらす可能性のある軍事的報復を行う危険性があると指摘する。
また、北朝鮮に隣接し主要な貿易相手国である中国が、米国の直接的な軍事行動に反発する可能性も高い。