にらみ合う中国・インドの軍部隊 国境紛争じわじわと再燃
アジアの経済大国である中国とインドの2国間貿易が急増しているのとは裏腹に、今回の国境地帯における危機は、両国の外交関係が悪化した1年を象徴する出来事といえる。
インドは、最大のライバルであるパキスタンと中国との関係に懸念を強めており、インドが領有権を主張するカシミール地方を通る彼らの通商回廊は領有権の侵害とみなしている。
モディ首相は、中国の習近平国家主席が主導するシルクロード経済圏構想「一帯一路」に参加するのを拒否した。
一方の中国は、インドに対し、日本を含む米国主導の西側の軍事同盟に近づかないよう求めている。モディ首相は日米との関係強化を模索している。
「今回の対立にハッピーエンドはないだろう」と、インド外交政策の専門家であるC・ラジャ・モハン氏は印紙インディアン・エクスプレスでこのように指摘。インドが屈する可能性は低いとの見方を示した。
前出の2人目の関係筋は、来月に中国で開催されるBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興5カ国)首脳会議に影響する可能性への懸念を示した。
人海戦術
インド軍当局者の話では、海抜3000メートルのドクラム高地で2カ月近く続いている、約300人の兵士がわずか100メートル離れた場所で対立している状況において、両軍ともに兵士増強はないという。
だが中国は、インドが部隊を集結させていると非難。国営メディアは1962年の中印国境紛争での敗北よりもひどい結末が待っていると警告している。
「われわれは問題を解決するため、中国と向き合っている。戦争では問題を解決できない」と、インドのスワラジ外相は議会でこう述べ、融和姿勢を改めて示した。