忍び寄るアマゾンの巨大な影 全米あらゆる企業が避けられぬ懸案に
問題となっているのは、アマゾンの圧倒的な規模、安い価格で売ろうとする姿勢、多様な種類の製品やビジネスを取り込もうとする熱意がもたらす競争面での脅威だ。
新たな小売領域や国への急速かつ高コストな拡大を減速させる兆しがないなか、アマゾンは今回の決算で、小売りでの売上急増と収益の減少を発表した。
ホールフーズに関心
アマゾンによるホールフーズ買収は、小売業者やスーパーマーケット、食品サプライチェーンに関係する企業を揺さぶった。また、アナリストが不動産投資トラストや銀行にも食品雑貨店(向け融資)への影響を尋ねる一方、冷蔵設備メーカーのドーバーやパッキング用品のシルガン・ホールディングスも買収について質問を受けた。
「今の段階では、誰もがその質問をしているようだ」と、ホールフーズ買収を受けた電子商取引の影響について尋ねられたシルガンのアンソニー・アロットCEOは答え、今回の買収は機会と考えていると付け加えた。
アマゾンは、ウォール街でも巨大な反響を巻き起こしている。
データ分析プラットフォームのストリート・コンテクストによると、今月出された銀行の調査ノートや売買コメンタリーで、アマゾンへの言及はマイクロソフトやアップルへの倍近くで、アルファベットの3倍だった。また、一般的な企業平均の17倍近くの頻度で言及されていた。
キーバンク・キャピタル・マーケッツの株式アナリスト、ジェフ・ハモンド氏は、投資家は、さまざまな製品の卸売業者がアマゾンに弱いのではないかと懸念していると指摘する。
「差別化がされていない日用品で、定価が高く、輸送しやすいものについては、アマゾンに競争力があるだろう」とハモンド氏は言う。
アマゾン関連の質問の質問に慣れっこの企業幹部もいる。
研究室向けラボ設備などを扱うサーモフィッシャーサイエンティフィックの幹部は、アマゾンの影響について、5年ほど前からたびたび質問されてきた。同社CEOは今月、電子商取引部門とサプライチェーンへの投資を発表した。
「われわれは、アマゾンをとても深刻にとらえている。これまでもずっとそうしてきた」と、同社のマーク・キャスパーCEOは話した。
(翻訳:山口香子 編集:伊藤典子)
[ニューヨーク 28日 ロイター]