最新記事

同乗レポート

日本人ウーバー運転手が明かす「乗客マッチング」の裏側

2017年7月20日(木)11時47分
小暮聡子(ニューヨーク支局)

西村はこの日、午後4時に運転手アプリを起動し、15秒で来たリクエストをアクセプトして走り出したものの6分後に客から「キャンセル」の通知が来た。客を拾うまでにかかる時間として乗客・運転手双方のアプリに表示されていた「6分間」が経過すると、その瞬間にキャンセル。

ウーバーの規定では、乗客がウーバーを呼んでから5分以内にキャンセルした場合、キャンセル料は発生しない。5分を過ぎてからキャンセルしても、ウーバーの到着が遅れたなどの場合は運転手側がキャンセル料をチャージしないこともあるし、運転手が到着した場所で客から2分以上待たされた場合は、運転手側が客にキャンセル料をチャージすることもできる(チャージしないという選択肢もある)。

この時は、乗客が支払ったキャンセル料5ドルのうち、ウーバー側の取り分2ドルを差し引いた3ドルが西村の収入になった。

その後の30分間は、1人も客を拾えなかった。

6分後にキャンセルされて、数十秒でまた次のリクエストは来る。アクセプトして数分走り、乗客が待っているはずの場所に到着しても「シェリー」という女性らしき乗客の姿は見当たらない。数回電話をしても出ないし、車を停めていられるような場所ではなかったので、今度は西村がキャンセルして走り出した。

またすぐにリクエストの通知が来たのでアクセプトするのだが、走り出して数分後には乗客からキャンセル。この後も同じやりとりを数回繰り返しながら、空車の状態で30分が経過した。「マンハッタンはすごいよ。5分くらいしか(乗客が)待てないから」と西村は苦笑する。

ウーバーはサービス業、「仕事帰り?」と話し掛ける

結局、1人目を拾えたのは4時35分。マンハッタンのミッドタウンイーストで、「スザンヌ」という若い女性が乗車してきた。行き先はダウンタウン。車をスタートさせると、西村は後部座席のスザンヌに「仕事帰り?」と慣れた感じで話し始めた。スザンヌも、「サンフランシスコからニューヨーク在住の夫に会いに来ているの。今からビアガーデンで、夫や友人たちと待ち合わせ」とにこやかに返す。

第三者としてウーバーに乗って観察していると、ウーバー運転手とは「しゃべり」を含めたサービス業だということが分かってくる。乗客は降車した後にウーバー運転手をアプリ上で「評価」できるようになっていて、評価(つまりクチコミ)が低い運転手は乗客からお払い箱にされてしまうからだ。

実は、ウーバーの運転手になることはそれほど難しくはない。ウーバーの運転手は「社員」ではなく「登録制」で、各種テストを突破して初期費用を支払うなど、いくつかの条件を満たせば外国人でもなれる(ウーバーへの登録自体は無料。西村の場合、講習料や保険料など、初期費用が約2500ドルかかった他、新車を購入したのでその代金も発生した)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

トランプ関税で実効税率17%に、製造業「広範に混乱

ワールド

「影の船団」に偽造保険証書発行、ノルウェー金融当局

ワールド

焦点:対日「相互関税」24%、EU超えに政府困惑 

ワールド

OPECプラス8カ国、カザフの超過生産巡り協議へ 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台になった遺跡で、映画そっくりの「聖杯」が発掘される
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    博士課程の奨学金受給者の約4割が留学生、問題は日…
  • 9
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のため…
  • 10
    トランプ政権でついに「内ゲバ」が始まる...シグナル…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 9
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中