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トランプ大統領長男とロシアの陰にキッシンジャー氏

2017年7月12日(水)16時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

キッシンジャー・アソシエイツとは

以下に述べる内容は7月19日発売の『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』の第一章で詳述している。

本が発売される前にキーポイントとなる内容をネットのコラムで発表してしまうことは問題があるかもしれないので、出版社の許可を得て、このコラムで事前に公開する。

キッシンジャーは1971年7月に、いわゆる「忍者外交」という形で、最初に中国を訪問している。中国では1976年に毛沢東が他界すると、1978年12月に鄧小平の号令により改革開放が始まった。その翌年の1979年、鄧小平はキッシンジャーに「中国に協力してくれるアメリカのハイテク企業を紹介してくれ」と頼んだ。

というのは、中国は1966年から1976年まで展開された文化大革命によってすべての高等教育機関が閉鎖され、武器以外の科学技術に関する研究はストップし、経済は壊滅的打撃を受けていたからだ。ハイテク産業における西側諸国とのギャップは埋めようもないほどに立ち遅れていた。

そのときキッシンジャーが紹介したのがヒューレット・パッカード(HP)だ。ヒューレット・パッカードの中国における電子産業参入は熱烈に歓迎された。そのことを知った他のアメリカ企業もキッシンジャーを通して鄧小平の承諾を得ながら中国に進出し始めた。

そこでキッシンジャーは1982年に「キッシンジャー・アソシエイツ」というコンサルティング会社を設立。

やがて中国に進出したいアメリカ企業だけでなく、アメリカに進出したい中国企業もキッシンジャーに相談するようになり、その「仲介料」として莫大な資産をキッシンジャーは手にするようになる。もちろん対象国は中国だけではない。

数十カ国の中の大口のお得意さんとして「ロシア」があることは、言うまでもない。

(旧)ソ連が崩壊を迎え始める少し前の1989年4月30日、ニューヨーク・タイムズはキッシンジャーが(旧)ソ連とアメリカの高官から金をもらってロビー活動を行なっていることに関して、これはロビイング法に反しており、顧客情報を開示していない問題点を大きく報じた。

しかしこのときキッシンジャーは「コンサルティング会社」なので情報公開できないと弁明して逃げ切っている。

キッシンジャーは後にロシア科学アカデミー外国人会員としてロシア政府による厚遇を受けるようになった。

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