一生に一度は誰もが精神を病むことが明らかに 健康な方がむしろ「異常」!?
その代わり2つの特徴があった。1つは、家系の中で精神疾患を経験した人がほとんどいなかったこと。もう1つは、研究チームが「有益な性格」と表現しているものだ。研究者2人が寄稿した前述のサイエンティフィック・アメリカンの記事によると、それはつまり、「ネガティブな感情をほとんど見せない」、「同僚や仲間と付き合うのがうまい」、「自己統制に長けている」ということだという。
両氏はさらに、こうした精神疾患を発症したことがない人たちは、なぜ「異常なほど」精神が健康なのかを探る研究対象になるだろうとしている。
みんな辛いなら人にもっとやさしくなれるかも?
研究チームの1人でニュージーランドのオタゴ大学のジョン・ホーウッド准教授は、心理的な疾病というと一生ものだと考える傾向があると指摘。しかし実際はほとんどの場合で、一時的なものだという(なおホーウッド准教授の別の研究では、85%の人が中年期までに診断名のつく心の病気を経験するという結果が出ている)。
サイエンティフィック・アメリカンに寄稿した2人の研究者は、今回の調査で一番大切なのは、「精神面での問題はほとんど普遍的」であり、つまり「社会は心の病気を、骨折や腎臓結石、風邪などのように、生きていく中で起こる通常の傷みとして扱うべきだ」と訴えている。
また、米クレアモント大学院のジェイソン・シーゲル教授の言葉「友達や同僚の健康問題が一時的なものと考える時に、人はより同情的で協力的になる」を引用し、今回のような調査結果が、「自分自身や大切な人たちが人生を歩む過程でつらい状況に差し掛かった時に、その人たちにもっとやさしくなれる手助けになる」と結んでいる。
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