最新記事

マナー

男性諸氏は要注意! スペインのバスで「大股開き」が禁止に

2017年6月13日(火)14時50分
モーゲンスタン陽子

jcarillet-iStock

バスや電車などの公共の交通機関で男性が大きく股を開いて座る行為が迷惑なのは、洋の東西を問わず同じらしい。

女性団体の抗議署名を受けて、スペインの首都、マドリードの市営交通機関はこのほど、車内での迷惑行為にこの「大股開き」を加えた。「禁煙」や「ゴミ捨て禁止」などのサインに並んで、股を開いて座る人影の上に大きなバツ印のついた「大股開き禁止」のサインがまもなく登場する予定だ。

Captura.PNG

EMT マドリードウェブサイトから

オックスフォード英語辞典にも登場の「正式な英単語」

実はこの「男性が大きく股を開いて座る行為」には正式な英語の名称がある。man「男性」と spreading「開くこと・広げること」を組み合わせた造語 manspreading(名詞)がそれだが、2015年にオックスフォード英語辞典のオンラインデータベースにも加えられた、れっきとした英単語だ。

マドリードの市営交通機関EMT マドリードはこの英単語を"el manspreading" としてそのまま使い、意味を紹介している。同社は6月6日、ホームページにて、今後は男性にマンスプレディングを禁じ、脚を閉じて1人分のスペースを守るよう促すために、すべてのバスに同サインをつけると発表。「この新しいアイコンの使命は、人々に礼儀正しい振舞いの必要性と、乗客全員のスペースを尊重することを考えさせることです」とEMTは言う。

今回のEMTの措置は、 マンスプレディング禁止を求め1万2千人以上の署名を集めた女性団体のオンライン嘆願書を受けて、マドリード市議会の平等部門の協賛のもとに決定された。嘆願書のページでは「すべての公共交通機関に妊婦・ベビーカー使用者・年配の方々や障害のある方々に場所をあける必要があることを説明するステッカーがありますが、実際には公共交通機関で私たちに毎回影響することがあります。それはマンスプレディングです」と宣言している。

マドリードだけではない

このような運動が起こったのはマドリードが初めてではないようだ。2014年にはニューヨーク市のメトロポリタン・トランスポテーション・オーソリティ(MTA)が"Dude, stop the spread please. It's a space issue."「お兄さん、広げるのをやめてください。スペースの問題です」というキャンペーンを展開し、マンスプレディングを取り締まった。また、同年から翌年にかけてフィラデルフィアで、ヘッドホンの音漏れなど各種マナー違反をとりあげた "Dude, it's Rude"「お兄さん、それ無作法です」キャンペーンの一環として、大股開きに注意を向けている。シアトルでは、タコが左右の座席に足を広げるイラストが使用された。

ガーディアンは今回のマドリードのニュースを受け、「大股開き禁止」のサインを中心とした、世界のマナー啓蒙キャンペーンのアイコンを特集している。1976年と2012年の日本の広告も含まれている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中