最新記事

イギリス政治

メイ首相辞任求める声広がる

2017年6月12日(月)17時00分
松丸さとみ

このような若い世代での高い投票率が、今回の総選挙の結果に大きく影響したとされているが、インディペンデント紙は、労働党支持を訴えるラッパーやミュージシャンの力が今回の労働党の躍進に一役買っていると伝えている。

ソーシャル・メディアでは、「#Grime4Corbyn(グライム・フォー・コービン)」(グライムとは英国発祥の音楽ジャンル)というハッシュタグが作られ、有権者登録をするとシークレット・ライブのチケットがもらえる、というキャンペーンが行われた。また、ラッパーのJme(ジェイミー)がコービン氏とテレビ出演し、若年層に投票に行くよう訴えると同時に、音楽、教育、芸術について意見を交わしたという。若者に人気のミュージシャンからの支持を取り付けて選挙で大勝する様子は、1997年に地滑り的勝利を納めて、長年の保守党政権に終止符を打ったトニー・ブレア氏率いる労働党を彷彿とさせる。

歴史は繰り返す?

インディペンデント紙は前述とは別の記事で、今回の総選挙の結果が1974年の選挙で宙づり議会になった時と状況が非常に似ていると報じている。

同紙によると1974年、当時の与党保守党は、過半数を余裕で超えておりしかも任期まであと1年半あった。しかし当時のテッド・ヒース首相が選挙の前倒しを実施。結果は宙づり議会となり、議席数では労働党が保守党を上回った。得票率でわずかに労働党を上回った保守党のヒース首相は権力の座にとどまろうと、自由党との連立など数日間試行錯誤したが、結局辞任するに至った。その後、労働党が少数与党となり、ハロルド・ウィルソン党首が首相に就任した。1920年代にも、下院で2位となった政党が少数与党として政権を握ったケースが複数回あったと伝えている。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン核施設攻撃なら「壊滅的」結果、ロシアがトラン

ワールド

米、数カ月内のウクライナ和平実現に懐疑的 政権内で

ビジネス

マネタリーベース、3月は前年比3.1%減 7カ月連

ビジネス

アリババ、AIモデルの最新版を今月中にもリリース=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 8
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 9
    【クイズ】2025年に最も多くのお金を失った「億万長…
  • 10
    トランプが再定義するアメリカの役割...米中ロ「三極…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中