最新記事

日本政治

支持率急降下の安倍首相、3期目に暗雲 7月の都議選が試金石に

2017年6月22日(木)20時51分

6月22日、数カ月前、安倍晋三首相は2018年9月に3期目の自民党総裁に選ばれ、日本の首相として史上最長の在任期間に挑み、悲願である憲法改正の実現に向け順調に進んでいるように思われた。19日撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)

数カ月前、安倍晋三首相は2018年9月に3期目の自民党総裁に選ばれ、日本の首相として史上最長の在任期間に挑み、悲願である憲法改正の実現に向け順調に進んでいるように思われた。

しかし、加計学園問題と与党の国会運営に対する批判を受け、内閣支持率は急落、今や先行きには暗雲がたれ込めている。7月2日投開票の東京都議会議員選挙は、グローバル投資家にとって魅力となっている安倍内閣の安定性の行方を占ううえで、1つの試金石になる。

疑惑の中心となっているのは、安倍首相の友人が理事長である学校法人「加計学園」の獣医学部新設が認可された過程で、首相と側近が文部科学省に働きかけたのかどうかという点だ。

安倍首相は国会で、関与は一切なかったと繰り返し反論した。

この間、疑惑そのものよりも、安倍首相や菅義偉官房長官など首相側近の言動──情報を隠したり、内部情報を明らかにした元文部科学次官への中傷など──に対して、国民が長期政権ゆえのおごりを感じている、との見方が広がった。

ある自民党の若手議員は「菅官房長官の記者会見での不遜な態度、前次官への人格攻撃、あれはまずかった」と話す。「そういう『上からの物言い』に国民は反感を持っている」──。

次の衆院選は2018年12月の任期満了までには行われるが、東京都民の評価は、7月の都議選である程度、明らかになるだろう。

都議選は表向き、就任1年目の小池百合子都知事が率いる「都民ファーストの会」の公認候補と推薦候補で都議会の過半数議席獲得があるのか、そのことによって同知事の信認を都民に問う選挙だ。だが、地方の問題だけではなく、国政レベルでの有権者の見方も反映される。

自民党東京都連会長で自民幹事長代理の下村博文氏は20日の会見で、今回の加計学園問題と内閣支持率低下は「国政の問題ではあるが、都議会選に残念ながら、マイナスの影響になる」と指摘。さらに「過去の都議選は、その後の国政選挙に必ず影響している」と懸念を示した。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル1年超ぶり高値、ビットコイン10

ビジネス

米、ロシアのガスプロムバンクに新たな制裁 取引禁止

ビジネス

米国株式市場=上昇、ダウ・S&P1週間ぶり高値 エ

ワールド

米中国防相会談、米の責任で実現せず 台湾政策が要因
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中