サイバー攻撃、欧州とアジアの企業は備え薄く甚大な被害も
攻撃を受けた企業や機関のなかには、英国民医療サービス(NHS)や仏自動車大手ルノー、スペインの通信大手テレフォニカが含まれている。
関係筋によると、テレフォニカはサイバー攻撃をカバーする保険に加入しているが、経済的影響を予測するには時期尚早だという。
ルノーとNHSはコメント要請に回答しなかった。
サイバーリスクのモデル構築を支援する米西海岸の企業Cyenceは、12日の攻撃で要求された個別の身代金額は平均300ドル、事業中断で被った経済コストは総額で約40億ドルと試算している。
一方、サイバー攻撃関連コストについて政府や企業に助言する非営利の米調査機関「Cyber Consequences Unit」は、経済コストは総額で10億ドルを超えないだろうと予想。もう少し控えめにみている。
高い利益率
サイバー保険は通常、ランサムウエアのような攻撃によるゆすりから企業を守る。保険会社によると、こうした攻撃は過去1年半で急増しているという。調査費用もカバーし、ランサムウエアで請求される身代金も支払うと、前述のパリシ氏は説明する。
だが注意も必要だ。ぜい弱性からユーザーを保護するため、マイクロソフトが3月に公表した修正プログラムをダウンロードしなかった企業は不運かもしれない。多くのサイバー保険はそのような場合を適用外としているからだ。
また、海賊版ソフトウエアを使用している企業も保険の支払いを受ける資格を持たない可能性が高いと、カリニッチ氏は指摘する。
サイバー保険の多くは最大5000万ドルを補償し、その大半は事業中断に関連する損失を補うものだとパリシ氏は説明。なかには、5億─6億ドルを補償する保険も一部あるという。