ナチスに心酔するドイツ軍兵士がシリア難民になりすましてテロを計画
BKAは連邦軍に、フランコ・Aに勤務を続けさせて泳がせるよう依頼し、監視を続けた。4月19日にドイツ諜報機関の軍事保安局MADがフランコ・Aを尋問、またAの同志とされる学生を家宅捜索して爆発物などを見つけ、月末の逮捕に至った。
これまでのところ拘束されているのは3人。イスラム過激派の犯行に見せかけて難民に対する憎悪を煽る目的だったと思われるが、それは「極右の戦略の要だ」と、極右専門家ハヨ・フンケ氏は言う(フォーカス)。連邦軍兵士による攻撃の不安も目新しいものではなかったが、これまで考えられていたシナリオでは、紛れ込んだイスラム過激派が国防機密を持ち出し利用するというものだった。この夏も、MADがIS勧誘員に対する新しいセキュリティを導入する予定だ(シュピーゲル)。
スキャンダルの輪が芋づる式にどこまで広がるかは予測がつかない。暗殺・テロ計画がどれだけ進んでいたのかも不明だ。MADは現在約280人の軍関係者を調査中といわれている。また、フランコ・Aが難民申請をした2015年末〜2016年初頭は、ドイツ全体が大量の難民の受け入れで混沌としていた時期だ。賛否両論のなかで推し進められてきた移民受け入れ政策を悪用する形となった今回の事件に、国民のあいだに不安と怒りが広がっている。
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