フランス大統領選、勝者マクロンは頼りになるのか
マクロン陣営としては、もし選挙戦で掲げた経済改革が軌道に乗れば、白けていた有権者も熱意を取り戻すと期待しているはずだ。だがそこにたどり着くまでには多くの戦いが待ち受けており、マクロンはすぐ国民にそっぽを向かれる恐れがある。
親ヨーロッパ票
フランスの三色旗が激しく振られるマクロンの集会では、常に多くのEU旗も共に振られていた。1年前、イギリス国民がEU離脱を決めた後、これはEUの終わりの始まりではないかと考えた人もいた。だが日曜の投票は、EUはまだまだ終わっていないことを再び示した。
フランスを率いるマクロンは、ドイツと共にEUの頂点に立ち、EUの未来を形作る上で大きな役割を果たすことになる。
イギリスの政治家は、イギリスがEUと離脱のための条件交渉に入る前に、マクロンの立場を知りたがっている。これまでの言動から判断する限り、マクロンは対英強硬派で、イギリスはEUを脱することで何らかの罰を受けなければならないと考えている。「私は強硬なイギリス追放派だ」と、彼はモノクル誌に語っている。
ロシアに対するEUの経済制裁を緩めることはなさそうだ。ロシア政府はマクロンの勝利を喜ぶまい。マクロンは決戦投票に残った4人の候補者のなかで唯一人、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領との関係改善に反対していた。
同時にマクロンは、EUは改革すべきだと考えている。ユーロ導入国同士の連携を支持し、財政政策の調和を図るためにEU財政相も置くべきという立場だ。
盗まれたメール
米大統領選では、民主党候補のヒラリー・クリントン陣営や民主党のサーバーがハッカーに侵入されたというニュースが次々と、何日も、話題になった。
マクロン陣営も似たようなハッキング被害に合い、何者かがそこから盗み出された電子メールを電子掲示板に公開した。だが、効果は極めて限られていた。
一つの原因は、フランスの選挙管理委員会がメディアに対し、盗まれたメールの詳細を報道すれば刑事罰に問われることになると警告していたから。フランスの選挙法は、投票直前に選挙結果を左右しかねない政治的な報道をすることを厳しく制限している。
またマクロン陣営によれば、メールには本物に混じって相当数のまがい物も混じっていた。
だが投票が終わった今、ジャーナリストたちは改めてメールを隅から隅まで調べることだろう。もしスキャンダルの種がそこにあれば、総選挙の日までマクロンを苦しめることになる。
(翻訳:河原里香)