トランプと習近平の「蜜月」 アジア各国は「米中G2」を疑心暗鬼
4月28日、トランプ米大統領(左)が中国の習近平国家主席(右)を「良い人だ」と温かく評価したことは、中国政府を安心させるだろう。
トランプ米大統領が中国の習近平国家主席を「良い人だ」と温かく評価したことは、大統領がようやく良好な米中関係の重要さを認識したものだと、中国政府を安心させるだろう。
だが、一方でアジアの同盟国からは、それぞれが新しい秩序のどこに置かれるのかと、当惑を招くリスクもある。
米中首脳が築く新たな関係は、トランプ氏が昨年の大統領選挙中に、中国は不公平な貿易政策で米国の雇用を奪っていると非難していたころには、あり得ないと思われていた。
大統領選に勝利したトランプ氏は昨年12月、中国が自国の領土だと主張する台湾の蔡英文総統からの電話を受けて、外交儀礼をひっくり返した。
数カ月後の4月初旬、習主席とフロリダ州にある自身の別荘で会談したトランプ大統領は、その後180度意見を変えた様子で、習主席に対して核武装する北朝鮮を制御しようと努力していると称賛する一方で、再び電話会議を開こうとする台湾総統からの提案をはねつけた。
だが大きな疑問は、こうした急接近が続くかどうかだ。トランプ大統領は、昨年の選挙期間中にロシアのプーチン大統領に対する尊敬を口にしていたが、両者の関係はその後、冷却化した。
トランプ氏側からの接近を、中国政府高官らは疑いなく喜ぶだろう、と北京大学国際関係学院院長で政府の外交アドバイザーを務める賈慶国氏は指摘する。
「トランプ政権で唯一確かなことは、不確実性と予測不能性だと言われている。だが、これまでの発言や行動から判断する限り、中国関係についてはかなり安心できる。中国では、トランプ政権についてより好意的な印象を抱くようになっているし、両国が建設的に協力できるという期待も高い」と同氏は語る。
中国の周辺国にとっては、状況はもう少し複雑だ。
ある一面を見れば、世界の2大経済大国が健全な関係を築くことは、全ての国の利益にかなう。
「両国の対話がそこそこ建設的な始まりを見たことは、極めてポジティブなことだ」と、インドネシアのジョコ大統領の側近で投資調整庁のレンボン長官は、ロイターに語った。