人件費上昇で苦境のコンビニ業界 「無休」の成長モデルに壁
コンビニはオフィスや病院など限られた立地以外は「24時間・年中無休」が基本となっており、大手3社でみると、各社ともに95%前後を占める。
澤田貴司ファミリーマート社長が「今の労働市場に対してコンビニ業界としてどう考えて、どうするかは議論しなければならないと考えている」と話すなど、業界内でも問題意識は出てきており、真剣な議論が必要な段階に入っているとも言える。
店舗数は増加見通し
5万店舗を超えた辺りから「飽和」と言われながらも、現在、約5万5000店舗まで拡大したコンビニ業界。まだ、店舗の増加傾向は止まっていない。
セブンイレブンは、出店基準を厳格にしたとしながらも、17年2月期の純増850店舗に続き、18年2月期も純増700店舗を計画。井阪社長は「17年2月期のシェアは42.7%。50%を目指して邁進する」と意気込む。ローソン <2651.T>も2022年2月期に1万8000店舗(2月末時点で1万3111店舗)、ファミリーマートも来期は純減見通しにあるものの、再び純増基調に入り、2021年2月期には1万8500店舗(同1万8125店舗)を目指す。
一方で、2016年3月から今年2月まで、既存店の来店客数は12カ月連続で前年割れが続いている。そうした状況での店舗網拡大は、限られたパイの食い合いにならざるを得ない。ここでも、店舗の体力消耗が続くことになる。
プリモリサーチの鈴木代表は、宅配やコンビニなどは「過大な消費者の要求やニーズを受け入れ、サービスを提供してきた。これが合理性を失った以上、見直すのは健全なこと」と話している。
(清水律子 取材協力:サム・ナッセイ)