プーチン露大統領の米大統領選「干渉作戦」 機密文書が裏付け
サイバー攻撃
米当局者4人によると、ロシアの研究所が作成した2つの文書どちらも、米大統領選に干渉するためハッキングしたとされる民主党の電子メールの内容には触れていない。同ハッキングは、クレムリンとは別の隠れた諜報活動だったと4人は語る。
公然と行われたプロパガンダと秘密裏に行われたハッキングは互いに相乗効果をもたらしたという。ロシア・トゥデイもスプートニクも、ハッキングされた米民主党の電子メールの内容を宣伝した。そのなかには、厄介な詳細もたびたび含まれていた。
米当局者5人は、研究所がクレムリン内部の外交政策に関するシンクタンクだと説明した。
研究所のウェブサイトによると、文書が作成された時期に所長を務めたレオニード・レシェートニコフ氏は、ロシア諜報機関での33年に及ぶキャリアのなかで、中将の位にまで昇進した。同氏が1月に研究所を退職した後、プーチン大統領はミハイル・フラトコフ氏を所長に任命した。研究所によれば、フラトコフ氏は2007─2016年、ロシア対外情報庁長官を務めた経歴がある。
ロイターは、この2人のいずれかが文書の起草に直接関与したかどうかについて確認することはできなかった。
ウェブサイトには、研究所の説明として、「専門的な評価」や「提案」、「分析材料」をロシアの大統領府や政府、連邦安全保障会議、閣僚、議会に提供するとある。
1月31日、クレムリンと研究所のウェブサイトは、レシェートニコフ氏とフラトコフ氏がクレムリンでプーチン大統領と面会している写真と会話を公開。大統領はレシェートニコフ氏の貢献に謝意を表し、フラトコフ氏には研究所が客観的な情報と分析を提供するよう求めた。
「われわれは8年近く、あなたの外交政策の構想を遂行すべく全力を尽くしてきた」とレシェートニコフ氏はプーチン大統領に語った。「ロシアの政策、ロシア大統領の政策は、われわれの活動の礎である」
(Ned Parker記者、Jonathan Landay記者、John Walcott記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)