最新記事

謀略

プーチン露大統領の米大統領選「干渉作戦」 機密文書が裏付け

2017年4月21日(金)12時50分


サイバー攻撃

米当局者4人によると、ロシアの研究所が作成した2つの文書どちらも、米大統領選に干渉するためハッキングしたとされる民主党の電子メールの内容には触れていない。同ハッキングは、クレムリンとは別の隠れた諜報活動だったと4人は語る。

公然と行われたプロパガンダと秘密裏に行われたハッキングは互いに相乗効果をもたらしたという。ロシア・トゥデイもスプートニクも、ハッキングされた米民主党の電子メールの内容を宣伝した。そのなかには、厄介な詳細もたびたび含まれていた。

米当局者5人は、研究所がクレムリン内部の外交政策に関するシンクタンクだと説明した。

研究所のウェブサイトによると、文書が作成された時期に所長を務めたレオニード・レシェートニコフ氏は、ロシア諜報機関での33年に及ぶキャリアのなかで、中将の位にまで昇進した。同氏が1月に研究所を退職した後、プーチン大統領はミハイル・フラトコフ氏を所長に任命した。研究所によれば、フラトコフ氏は2007─2016年、ロシア対外情報庁長官を務めた経歴がある。

ロイターは、この2人のいずれかが文書の起草に直接関与したかどうかについて確認することはできなかった。

ウェブサイトには、研究所の説明として、「専門的な評価」や「提案」、「分析材料」をロシアの大統領府や政府、連邦安全保障会議、閣僚、議会に提供するとある。

1月31日、クレムリンと研究所のウェブサイトは、レシェートニコフ氏とフラトコフ氏がクレムリンでプーチン大統領と面会している写真と会話を公開。大統領はレシェートニコフ氏の貢献に謝意を表し、フラトコフ氏には研究所が客観的な情報と分析を提供するよう求めた。

「われわれは8年近く、あなたの外交政策の構想を遂行すべく全力を尽くしてきた」とレシェートニコフ氏はプーチン大統領に語った。「ロシアの政策、ロシア大統領の政策は、われわれの活動の礎である」

(Ned Parker記者、Jonathan Landay記者、John Walcott記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

[ワシントン 19日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ベインキャピタル、ジャムコのTOBを21日に開始

ビジネス

日経平均は続伸、日米交渉通過で安心感 海外休場のた

ワールド

ウクライナ第2の都市にミサイル攻撃、1人死亡・57

ビジネス

ENEOS、発行済み株式の10.8%に当たる自社株
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判もなく中米の監禁センターに送られ、間違いとわかっても帰還は望めない
  • 3
    米経済への悪影響も大きい「トランプ関税」...なぜ、アメリカ国内では批判が盛り上がらないのか?
  • 4
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 5
    紅茶をこよなく愛するイギリス人の僕がティーバッグ…
  • 6
    ノーベル賞作家のハン・ガン氏が3回読んだ美学者の…
  • 7
    トランプ関税 90日後の世界──不透明な中でも見えてき…
  • 8
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 9
    トランプが「核保有国」北朝鮮に超音速爆撃機B1Bを展…
  • 10
    今のアメリカは「文革期の中国」と同じ...中国人すら…
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止するための戦い...膨れ上がった「腐敗」の実態
  • 3
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 6
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 7
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 8
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    「世界で最も嫌われている国」ランキングを発表...日…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中