ベネズエラ、マドゥロ政権による自主クーデターの顛末
ベネズエラの国会と最高裁を巡る状況としては、以前から国会の権限などなきに等しい状況だったので、この判決が出ようと出まいと変わらない。が、このメインではない1文(4.4項)は予想をはるかに上回る非難を集め、前代未聞の外交問題に発展してしまった。政府内部からまで反対の声が上がるなど、とにかく収拾がつかなくない事態に陥った。
そのため、慌てたマドゥロは1日に、速攻でこの決定を取り消した。ただし、取り消されたのは、国会の立法権を最高裁が行使するという点だけで、それ以外の、国会の承認なしに大統領が一方的に炭化水素法を改変できることを認める部分は変更されていない。
そもそもこれは炭化水素法についての決定だったのに、「国会の権限停止」の部分だけが一人歩きした形です。この文章が取り消されたことで、一旦は落ち着いたかに見えます。ですが、この文章が消されたから、ベネズエラ政府は独裁ではなくなったとは言えません。
国の資産であり、経済の全てを担う石油を国民によって正当に選ばれた議会の承認なしに、一方的に大統領が好きにするのを認めること自体が、最高裁が独裁を認めるに等しいからです。
さらに、現時点でロスネフチから借りるお金がどうなっているのかは不明です。債務は本当に支払われるのか、あるいはデフォルトするのか。またこの件で、政府内に生じた動揺は、今後の政権の行方にどのような影響を与えるのか。このドサクサで本当に得をしたのは一体誰なのか。何もかも不透明で、不穏な状況はなおも続いています。