韓国へTHAAD発射台が到着 中国の反発必至
有無を言わさぬ電撃配備の背景
6日早朝に北朝鮮がミサイル4発を発射するなど、北朝鮮の核・ミサイル攻撃の脅威がさらに高まっていることは事実だが、ロッテ理事会が城主ゴルフ場をTHAAD配備場所として提供することを決定したのがわずか1週間前。まだ土地の造成作業すら始まっていないタイミングで、韓国軍と在韓米軍がTHAADシステムの1部とはいえ搬入作業を開始したのは、政治的な要因によるものという声が大きい。
THAAD配備は、昨年11月に国会で弾劾決議が成立した朴槿恵(以下、パク・クネ)大統領が決定したものだ。パク大統領に対する憲法裁判所の弾劾審査は今週末にも発表される見通しで、仮に弾劾が決定されれば、すぐにも次期大統領を選ぶ選挙戦が始まる。現時点では次期大統領には野党候補が選ばれる可能性が高く、選挙戦が始まればTHAAD配備慎重論が強まるのは必至だ。このため韓国国防部と在韓米軍は、パク大統領の弾劾審査が言い渡される前に、THAAD配備の既定事実化を狙って、6日夜に一部だけでも韓国に運び込んだというのが韓国メディアの一致した見方だ。
中国はさらなる圧力でTHAAD配備に反対か
一方、THAADが北朝鮮のみならず中国も射程距離圏内に入るため、韓国へのTHAAD配備について中国はこれまで一環して反対しており、特にロッテがTHAAD配備予定地として城主ゴルフ場を韓国国防部と土地交換の契約を交わしてからは、中国内の旅行代理店に韓国旅行の商品発売を取りやめさせたり、中国国内のロッテのスーパー「ロッテマート」を消防法違反で営業停止にするなど、強力に圧力をかけている。
韓国メディア聯合ニュースによれば、韓国外交部は今回のTHAAD配備に関して、「在韓米軍のTHAAD配備は韓米同盟で決定した事業で、あくまで北朝鮮の核・ミサイルの脅威に対する防衛目的で設置されるもので、第三国に脅威を与えることはないという明確な立場を中国側に伝えるため、韓米間で歩調を合わせる」と表明した。
だが、この言葉は中国側には通じないようだ。