最新記事

キャリアアップ特集

オンライン英会話のレアジョブが進める、従来型スクールとのサービス融合

2017年3月29日(水)18時20分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

rarejob-pic01.jpg

レアジョブはオンラインレッスンで画期的な料金体系を導入した(写真提供:レアジョブ)

通学制の利点を取り入れた新サービス

創業からの10年で、レアジョブの顧客にも変化が表れている。大学入試で英語のスピーキング力が重視される傾向が強まったことで中高生の受講者が増加。さらに、東京五輪の開催が決まってからはボランティアを目的とした主婦やシニア層も増えてきた。

一方で、顧客の中心となるビジネスパーソンの間では成果志向が顕著になってきている。企業活動のグローバル化によって、日常業務で英語を話すことを求められる人が急増していることの表われだ。

荒川氏は、「昔の英会話の市場では、必要に迫られてというよりも習いごとに近い感覚で学ぶ人が多かった。今は目的を持ち、それを達成するために英会話を始める人が増えた」と言う。このような背景によって、リーズナブルな料金でたくさん話すトレーニングが積めるオンライン英会話は急成長してきた。

【参考記事】早稲田大学ビジネススクールの魅力は、多様性の中でグローバルな経験を積める環境

その反面、オンライン英会話では、講師と対面していないために学ぶことができないことも多くある。また、オンライン英会話をうまく活用できるのは、自分でモチベーションを保ち続け、独学で英語力を上げることのできる層に限られる。こうした課題に対して、レアジョブでは新しいサービスを次々とスタートしている。

2年前からは日本人によるカウンセリングサービスをオプションで用意。さらに、2016年1月からは中上級者向けに「レアジョブ本気塾ワークショップ」をスタートさせた。これはオンラインレッスンと十数人のクラスによる通学制の英会話スクールを組み合わせたもの。週に1回外国人のファシリテーターが実践的なトレーニングをワークショップ形式で提供し、毎日のオンラインレッスンや宿題をこなすという3カ月間の短期集中によって、仕事で使える英会話力を身につける。また初心者に対しては、日本人のトレーナーが付いてマンツーマンで学習指導する「レアジョブ本気塾ハンズオン」も始めている。

これからの英会話市場を「オンラインだけではサービスの内容に限界があり、通学制だけではコストパフォーマンスが厳しい。実際に顧客にはオンラインと通学制を使い分けている人も多く、これからは両者のサービスが融合していくのではないか」と、荒川氏は分析している。そうしたサービス開発の元になるのが、レアジョブがこれまでに蓄積してきた2000万回以上のレッスンデータだ。

「日本人1000万人を英語が話せるようにする」をミッションとして掲げるオンライン英会話最大手のレアジョブは、新しいサービスの展開によって、通学制の英会話スクールとの融合を進めつつある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米停戦案「現状のままでは受け入れ不可」=ロシア外務

ワールド

米下院民主議員、ケネディ厚生長官を調査 鳥インフル

ビジネス

米建設支出、2月は前月比0.7%増 予想上回る

ワールド

米民主党主導州、トランプ政権を提訴 医療補助金11
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 8
    【クイズ】2025年に最も多くのお金を失った「億万長…
  • 9
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 10
    トランプが再定義するアメリカの役割...米中ロ「三極…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 5
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中