英国警察はなぜ丸腰? ロンドンのテロ事件受けて変わるか?
テロを受けて銃携帯に傾くか?
2015年11月にパリで発生した同時多発テロを受け、当時のテリーザ・メイ内務相(現首相)は、パリのような攻撃を受けた場合でも対応できるように、武装警官を大幅に増員させる方針を発表していた。
しかし実際は、武器使用を志願する警官が少なく人集めに苦労していると、デイリー・メールが同年3月に報じていた。警官が銃を持ちたがらないのは前述の理由のほかに、発砲して死者が出た際に、自分が加害者として起訴されるのを恐れている警官が多いのが理由らしい。
ガーディアンによると、今年1月にロンドン警視庁の警官1万1000人を対象にして行った調査では、「警官は常に銃を携帯すべき」との回答はわずか26%だった。また、「いかなる状況であれ、任務で銃を携帯したくない」と回答した警官は12%いた。「専門の武装警官を増やすべきだ」と回答したのは43.6%、「ロンドンにいる武装警官の数は十分ではない」と答えたのはわずか6%にとどまった。一方、全警官にテーザー銃(相手に電流を流す非殺傷武器)を持たせるべきだと回答した警官は75%に上った。
インディペンデントによると、今回のテロ事件を受けて国会議員からは、議事堂や空港など、テロリストの目標になりやすい場所をパトロールする警官は武装すべきではないのかという声が上がっている。しかしメイ首相は、実際にどの警察業務で武装するかを決めるのは警察当局である、と回答した。
ロンドンは、1970年代から2001年まで断続的に続いたIRAによる爆弾攻撃や、2005年の同時爆破事件など、これまでもテロ攻撃に無縁だったわけでは決してなかった。それでも、警官は銃不携帯を貫いてきた。恐らく今後も、全警官が銃で武装することは少なくともしばらくはなさそうだ。