最新記事

日本政治

森友学園問題、中国でねじれ報道――「極右教育」籠池氏側に立つ?

2017年3月27日(月)17時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

おまけに安倍夫人に焦点を絞ったものが圧倒的に多い。100万円寄付の真偽が、籠池氏と安倍夫妻の間で真っ向から対立しているからだろう。

たとえば3月24日の人民網の「人民電視(テレビ)」は中央テレビ局CCTV13の報道「安倍、森友学園スキャンダルに深く陥る  籠池――安倍夫人から直接100万円を受け取った」や、「日本:安倍、森友学園醜聞に深く陥る――顔を潰されたか?安倍はスキャンダルとは無関係と言い張る」などを転載している。「人民網」は中国共産党機関紙「人民日報」のウェブサイトだ。

安倍夫人に焦点を当てた報道は数え切れず、動画ではないが、代表的なものを列挙すると以下のようなものがある(動画はアクセスが不安定になるケースが多いので、ここでは省略する)。

「日本森友学園責任者が"爆弾発言":首相夫人から寄付金の封筒を受け取った」(中央ラジオ局)

「日本森友学園スキャンダル:4野党が安倍夫人の証人喚問を求める」(環球網)

「安倍、森友学園献金を再び否認  野党による妻の証人喚問要求を拒絶」

第二の韓国パク(元)大統領にしたい中国の願望

こういった流れを受けて、安倍首相はかつて「もし森友学園事件と自分および妻が関わっていたら、すぐ辞職する」と言ったではないかという報道が、中国では目立つ(この発言には「文脈」があるが、中国では取り敢えず、それは無視)。

たとえば中央ラジオ局のウェブサイト「安倍はかつて森友学園を関わっていたら辞職すると言い放った 専門家:その可能性は排除できない」などがある。

「となれば、ひょっとしたら、第二の韓国のパククネ(元)大統領」になり得るのではないか」という期待が中国の報道に滲み出るのは、自然の流れだろう。

たとえば「国際オンライン」の報道を見てみよう。その冒頭には、おおむね以下のようなことが書かれている。

――韓国の前大統領パククネは、「腹心(親友)事件」で弾劾裁判を受け下野し、韓国憲政史上で初めての弾劾によって引きすり降ろされた現役大統領となった。こんにち、「土地売却事件」により日本の首相・安倍晋三の支持率が急落している。事件のキーパーソンである籠池氏が国会で証人喚問を受けるが、安倍首相はかつて、「もし自分と夫人が土地売却問題に関与しているなら、首相を辞任する」と断言してしまった。さて、安倍は第二のパククネになるのだろうか?(ここまで引用)

この報道では、「最初に土地売却問題を暴露した豊中市議会の木村真議員の言葉」を、おおむね以下のように紹介している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 9
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    大麻は脳にどのような影響を及ぼすのか...? 高濃度の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中